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シャングリラ
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新宿の中村屋サロン美術館で富田菜摘という作家の 「シャングリラ」を見ました。

中村屋と言えば・・・中華まんやカレーで知っている人もいると思いますが、画廊をやっているとは思いませんでした。
たまたま招待券を貰ったので、初めて行く運びとなりました。
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さて、会場は広くはないのですが、作品は結構好みのものが並んでいたのでじっくりと見てしまいました。
こういうモノを作っている人って「趣味が高じて」なんていう事が多いと思いますが、このお方は美術教育を受けているので、逆に変わり種かもしれません。
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「こういうモノ」っていうのは、廃材(つまりゴミ)で作った動物です。
主に金属の廃材で作っていますが、金属って結構加工などが大変です。
よく見ると、部品と部品との結合は穴をあけて細い針金で結んだりしてありました。
全てをこのようにしているわけではないでしょうけど、廃材相手に手間暇がかかっています。
一般的に廃材を使ったものって雑に作られているものが多いと思いますが、精度がいいと見ごたえ(?)があります。
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さて、作者曰く、制作は顔から作っているのだそうです。
素人でも絵を顔から描く人が多いと思うので、それは納得です。
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作品を見るとどれも顔、特に眼がしっかりと作られていて、その重要性が分かりました。
動物でも表情はやはり眼ですね。
そして動物の表情の良さも作品の魅力の大きなポイントのように思いました。
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ひとつだけ気になったのが作品の名前。
「舞子」とか「津軽」とか「幸之進」とか、ちょっとこれは・・・。

ここで、会場で一番目立った馬を見てみましょう。
ブツがデカいとそれだけ廃材の加工やつぎはぎも多くなるので制作は大変そうです。
でも(他の作品もそうですが)その動物の特徴を上手く掴んでいますよね。
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やはり目玉を見ると凝っていて、素材も厳選されているように思いました。
まつ毛もあるような。
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横っ腹は内蔵(?)が見えるようになっていました。
このアイデアは中々に気に入りました。
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ケツや尻尾はこんな。
尻尾に生活感がある材料(フライ返しとか)をそのまま使っている動物が多いのですが、これはもうちょっと工夫があれば良かったような。
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展覧会のタイトルの「シャングリラ」って理想郷の事ですが、作者はこういった廃品の動物に囲まれた世界で幸せなんでしょうね。
ガイア・アソシエイツアトリエにもひとつ欲しくなりました。
値段が高いと難しいんですけどね。

KS

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[2022/05/08 11:12] | アート 3 | page top
光みつる庭 途切れないささやき
MOTコレクション
前々回の東京都現代美術館で「MOTコレクション 光みつる庭/途切れないささやき」も見ました。

同時開催の展覧会のついでに見た常設展なのですが、展示内容が一新されていて、案外と良かったです。
期待せずに見たコレクションが良いと、何だか得した気分になります。

次の写真右側、石川順惠「ゆるやかに開く窓から空2001-1」です。
初夏にふさわしい緑の風と明るい光を思わせます。
パンフレット表紙にも載っていますね。
やはり季節感があるからでしょうか。
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次は康夏奈(吉田夏奈)「No dimensional limit anymore」。
「もはや次元の限界はない」?ですかね。
壁から、床置きの台から、地図が立体になって顔を出しています。
単なる地図ではなく、印象をスケッチしたような私的覚書のような感じ。
小豆島に分け入り、特徴的な地形を多面体に起こし、体で感じ取ったものを立体的に縮めた、とあります。
美術館の白い壁から顔を出す島々は、本当はもっと大きく、壁の中に巨大な本体が埋もれているのかも?!
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次も同じく康夏奈(吉田夏奈)の「花寿波島の秘密」です。
これも小豆島の中にある花寿波島での体験をもとに作られたようです。
外側から見ると、宙に浮くアイスクリームカップかかき氷のようですが・・・。
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オブジェの下をくぐって中に入ると、いきなり海です。
360°全面展開する海中で、ゆらゆら揺られていると、ほんとに遊泳している気分になります。
しかし、これからが楽しみな作家と書こうとしたら、もう亡くなられているそうです。
44歳の若さで癌で亡くなるとは!
本当に残念なことです。
今頃は好きな小豆島の海で、光となって漂っているのでしょうか。
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最後はクリスチャン・ボルタンスキー。
以前にも個展で見たことがある「死んだスイス人の資料」です。
「生涯を通して歴史と記憶、そして死の表象に関わった」とあります。
え?!
「生涯を通して」ってことは、亡くなられたの?
ついこの前、自分の生活の一部始終をビデオで自撮りし続け、それを美術館に「作品」として買い取ってもらっていると聞いていたのに。
2021年に亡くなられたとは!!
(ビデオにはその最期も映っているのでしょうか?)
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そうしてみると、アーティストは亡くなっても、その作品は残り、見る人に感動や新しいものの見方・価値観を与え続けます。
これがアートというものでしょう。

SS

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[2022/05/06 08:45] | アート 3 | page top
BECOMING
マイ・ストーリー
ミシェル・オバマの「マイ・ストーリー」を読みました。

ご存知、オバマ元大統領夫人です。
TVなどでちらほら見かけたこの人は、印象として「気さくで飾り気のない人」と思っていましたが、それはほぼ間違いないようです。
加えて、大変な努力家、勉強家、良妻賢母、そしてNO.1のファーストレディーでもあります。
温かく朗らかな人柄はアメリカでも人気が高く、バイデンが副大統領に指名したかったようですが、彼女は固辞したようです。
そもそも、夫が大統領選に立候補するのも、最初は反対だったようで、「こんな良心的で純粋な人は政治家には向かない」と思っていたそうです。
それでも、最終的には夫を支持し、選挙戦でも駆け回って支持を集め、選挙陣営からは「切り札」と呼ばれたそうですから、大したものです。

スラム街で生まれ育ち、アメリカという国に黒人として生まれたことのハンディを背負い、父親が障碍者で苦労もしたけれど、両親は「子供には良い教育を受けさせる」という考えの持ち主で、頭の良かったミシェルはついにハーバードを卒業して弁護士事務所に就職します。もちろん、高い学費のローンを背負ってのスタートです。
けれども彼女はこの弁護士事務所に同じくハーバード卒のインターンとしてやってきたバラク・オバマと知り合い、彼の教育担当になります。
2人はたちまち恋に落ち、これが彼女の運命を大きく変えていきます。

普通の家庭で育った一般庶民(中の下ぐらいか?)が世界中で最も注目される合衆国大統領夫妻となる、そのギャップの物凄さにもみくちゃにされながらも、ふたりは8年間の任期の間、高い倫理と良識を保ってみせました。
私も覚えていますが、ミシェルさんが大統領専用機からホットパンツ姿で降りてきている写真、印象に残っていますね。
あまりに朝から忙しく、あまりに暑い日だったので、つい家にいるままの恰好で飛行機に乗り込んだそうですが、タラップを降りると同時にスクープされて、「ファーストレディーが、なんとはしたない!!」と非難されます。
また後日、エリザベス女王と晩餐会で会った時に、「ヒールを履いていると足が痛いわねぇ」という話でシンパシーを感じ、「そうですよね」とそっと女王にさわったところ、「女王に対して失礼!!」とマスコミに叩かれます。
そうか、そんなことでもこんな風に言われるのか!とその都度落ち込むのですが、「自分はこの場所にふさわしい人間か?そう、大丈夫!」と言い聞かせて乗り切ます。

そんな嵐の日々ですが、さすがの彼女もドナルド・トランプには頭にきたようです。
小さい頃から、イジメに対しては決然とした態度で臨み、相手がどんなに品位が無くても、こちらは凛として品位を下げない、これをモットーに生きてきたけれども、この男はあんまりだという訳です。
トランプが政権についてからなされた数々の悪行にも心を痛めますが、それでも彼女は希望を失わず、前進を続けることこそが大切だと言います。
「かすかに垣間見えた、実現できるかもしれない世界。それを常なるものとにしようと、私たちは歩み続けてきた。自分たちに何ができるかを知り、それ以上だって可能なのだと知る新たな世代とともに。これから何がやってこようと、この歩みはたしかに私たちの物語なのだ。」
一家
本当に大した女性、大した人です。

SS

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[2022/05/04 09:18] | | page top
ひげから地球へ、パノラみる
吉阪隆正展
前回に引き続き、東京都現代美術館で「吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる」も見たのでそれも。

一般ピープルにとっては聞いたことのない人だと思うので、こういった美術館での展覧会は多少辛いかもしれません。
予想通り客はほとんどいなかったので、こちらとしては見やすくて良かったんですが。

この人何者かというと、1917年生まれの東京出身の建築家で早大教授だった人です。
(僕のような?)好事家は一定数いると思います。
・・・が、建築の専門家であっても、彼の作品が本当に好きかどうかは是非問い詰めてみたいところです。

建築家の展覧会って案外地味で模型以外は面白くないってケースが多いのですが、今回の展示は工夫の痕跡もみられます。
こんなメビウスの帯(?)とか。
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自宅の実物大(?)断面図とか。
ペラペラの写真の実物大の本人(井上泰幸展と同じ手法)が玄関に立ってます。
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その自宅の模型はこんな。
大きめで分かりやすいですが、こういうのは普通によくある展示。
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代表作の大学セミナーハウスの全景模型はこんな。
設計当時のものなのか汚らしいんですが、結構大きいので迫力はあります。
ここには実際に行ってみたいと思っているのですが、まだ実現していません。
建物がある八王子って微妙に遠くて行くついでのない所なんです。
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江津市庁舎の模型はこんな。
設計意図を叶える為に構造的に無理をしていますが、かなり格好悪い建築です。
大きい模型をあちこちから見ると、それがよ~く分かります。
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さて、展覧会をみて感じたことは、思想的にはよろしいのですがはっきり言ってどれもデザインが悪すぎ・・・って事。
昔から思っていたんですけどね。
要は、できたブツはヘンテコで面白いのもありますが、自分としては決して設計を依頼する事はないだろう、という人なのです。
(故人ですけどね。)
でもそのヘタクソさが一種独特で異様なので、このように見に来てしまうのです。

最後に、次の写真は「地図を逆にすると新しい見方が・・・」という発想の転換の話です。
僕が設計の仕事の駆け出しの頃、ベテランの上司に「図面を上下逆にして見てみるといいよ」なんて言われた事を思い出しました。
その人も確か早大出身じゃなかったかな。
だれかさんの影響を受けていたのかも。
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KS

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[2022/05/01 13:28] | 建築 | page top
ゴジラ・ラドン・ヘドラ
井上泰幸展
清澄白河にある東京都現代美術館で「生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展」を見ました。

円谷英二君の怪獣映画なんかで特撮を担当していたおひとの展覧会でした。
入口の角にヘドラの絵が描いてありましたが。
昔「ヘドラ」と聞いた時、「怪獣映画も終わったな」と思ったものです。
(日本自体も酷い公害で終わりっぽかったでしたけどね。)

会場には精工なヘドラの眼(?)も展示されてましたが・・・
大人は仕事として一生懸命やっていたんですね。
複雑な気持ちになります。
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ガキンチョの頃は怪獣映画や戦争映画をそれなりに楽しみにして見にいきましたが、当時の子供達は特撮の拙さを十分に分かっており、かなり冷めた目(というかからかい半分)で見ていたように思います。
この方は寝る間を惜しんで特撮に勤しんでおられたようですが、できたモノを見る目は結構厳しかったのを知っていたのでしょうか。
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会場最後にこのような気合の入ったジオラマがありました。
特撮はこんなんだよんっていうデモンストレーションでしょうか。
それなら折角なんで、上に吊り下げられているラドン(ペラペラの写真でしたが)に街を壊してもらいたかったですね。
因みに手前に写っているのは井上君(こっちもペラペラの写真)です。
ここで何してるんだ?
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KS

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[2022/04/29 17:47] | 映画 | page top
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