![]() LINDA HOYLEの「PIECES OF ME」というアルバムを紹介いたします。 珍しく、というか初めての音楽アルバムの紹介です。 コロナのお陰で家でくすぶる事も多いと思いますが、音楽は「ながら」でOKなんでジャンジャン聴いて! ウェブ・サイト上の解説によると・・・ 「アフィニティーの紅一点ヴォーカリスト、リンダ・ホイルが1971年にリリースしたソロ・アルバム。 ニュー・クリアスのメンバーがバックを務め、カール・ジェンキンスがプロデュース、なんちゃらかんちゃら・・・。」 という事なんですが、当時のブリティッシュ・ロックを聴いてなければ「何が何やら」ですよね。 まあ、そんな事は知らなくてもよくて、このアルバムはかなり素晴らしい事になっています。 簡単に説明すると、リンダ・ホイルというおねえさんが、アカデミックな音楽教育を受けたカール・ジェンキンスに手伝ってもらって、シンガーソングライター的に作成した唯一のソロ・アルバムです。 その頃流行っていたアーシーなスワンプ・ロックやブルース的な味わいもありますが、60年代ポップスの捨てがたい残り香も漂っています。 つまり、とっつきやすいけれど骨太。 楽曲はそれぞれ印象がかなり違うのですが、アルバムとしてバラバラにならず上手くまとまっています。 メリハリがあるっていう事ですね。 (この辺りのさじ加減って難しそう!) そして、とにかくメロディーとアレンジが極上です。 ギタリストのクリス・スペディングをはじめとするエッジの効いた演奏も聴き応えあります。 このアルバムのように、誰が何を弾いているかがよく分かるようなシンプルで分離の良い音作りは好みです。 気になるのは、声域のせいかボーカルが若干苦しそうに聴こえる事ですが、まあそれはいいか。 ![]() 一応、最初の「解説」の言葉の意味も・・・。 (芸術は良いものは理屈抜きに良いと言いますが、背景を知っていると案外聴こえ方や印象が違ってくるものです。) 「アフィニティー」は、ロックが多様性に富んで大きく進歩した70年前後のイギリスのサイケ+ジャズ・ロック的なバンドです。 当時、実験的で進歩的なロックが数多く生まれ、このバンドもその一つでしょう。 「ニュー・クリアス」は、同じ頃トランぺッターのイアン・カー(イギリスのマイルス・デイヴィス)が作ったジャズ・バンドで、ロック的なアプローチもありました。 当時のイギリスのジャズは、ロック、フォーク、トラッドなどと音楽性だけでなく人的にもクロスオーバーしていたように思います。 「カール・ジェンキンス」は、ニュー・クリアスのメンバーで、後にソフト・マシーンに入り、バンドを乗っ取った感じになりました。 一般的には、ソフト・マシーン解散後の、90年代のアディエマスの大ヒットが有名だと思います。 ソフト・マシーン・ファンには悪く言われる事もありますが、クラシックをベースに優れた才能とセンスのあるジャズ系のピアニスト・管楽器奏者・作曲家だと思います。 このアルバムのプロデュースはクレジット上は別の人。 説明を進めるとますます分からない事が増えるだけかもしれないので、ここでストップ。 興味があったら自分でどんどん深みにハマってね。 アルバムに戻って、残念な点は「ジャケット」(最初の写真)。 これじゃ犯罪者の監獄ロック。 (特に女性ミュージシャンのジャケットで、明らかに見栄えの良くない写真を使っているケースが多々あるのはどうしてか?) アフィニティーのメンバーだった時の唯一のアルバム・ジャケット(次の写真:デザインはキーフ)が秀逸だっただけに残念です。 ![]() もう一つの残念は「曲順」。 ラストの曲が悪い。(それも他人の作った曲) 僕は単純なので、ラストは良い感じの曲で終わってほしいのです。 一般的に言っても、ラストの曲でそのアルバムの印象ってかなり左右されると思います。 最後の曲が暗く淀んでいたり、おちゃらけていたりするアルバムってありますが、「何回も聴くのに何でそういう事をするかな。」って思いますね。 ・・・などと色々書きましたが、そんな事気にならないぐらい良いアルバムでしょう。 当初300枚しかプレスされなかった、というのは信じがたいことです。 音の良いリマスター盤が出ているので聴いてみてちょい。 KS |
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