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SNOWDEN
スノーデン-
オリバー・ストーン監督の映画「スノーデン」を見ました。

2013年にスノーデンがアメリカの大量監視システムの存在を暴露した時に、私には何か大変なことが起こってるということはわかっても、それがなぜ大変でどんな風に私たちと関わってくるのか、いまひとつピンときませんでした。

スノーデンは元CIAの職員でもあり、NSA(アメリカ国家安全保障局)の職員でもあり、アメリカの最高機密に関わるデータを取り扱う仕事をしていました。
愛国精神旺盛な彼は、アメリカをテロから守るため人々の安全を守るためだと熱心に職務に励みますが、そのうちこれはとんでもないことだと気が付きます。

巨大監視システムはテロ対策には役には立たず、外交スパイ・経済スパイに使われていたのです。
権力者が「この人間を貶めてやろう」と思ったら、その人物の家族・関係者・プライベートな行動のすべてのデータを手に入れて、弱点を洗い出し、はめてやることができるのです。
また、貶めたい人間の嗜好や習癖を悪用して、無実の人を犯罪人にすることも簡単にできてしまいます。
実際にそういったことが行なわれていて、彼はその手助けをしているのだということに気が付きます。

それなのに、一般の人々はそういうことを何も知らずに、お気楽にSNSやネット上に自分の個人情報を垂れ流しています。
「あなた方がしていることはこんなにも危険なのに、国家によるこういった諜報活動を野放しにしていていいんですか?」
彼が言いたいことはそれだけです。

たった一人で、アメリカという最強の権力を敵に回して世界中にこのことを知らせる、これは並みの決意で出来ることではありません。
彼自身も、「もし、私が(暴露を)個人的な野望や欲でしたのだというのであれば、恵まれた境遇、高給、恋人、これらのすべてを失くしてでもやろうと思うでしょうか?」と言っています。
現にこの後彼はアメリカに帰ることは許されず、ロシアに亡命しています。

ときどき、「私は何も悪いことをしていないから、犯罪者やテロリストを捕まえるために、監視社会になってもいいじゃん!」という人がいますが、これは違います。
特に日本は平和が長く続き、世界でも安全に暮らせる国のひとつなので、一般の人々のプライバシーやセキュリティーに関する意識が低いと思います。

プライバシーというのは、個人が自分の考えを作り出すために必要なので、「自分は何も悪いことをしていないから監視されても構わない」という人は、表現の自由なんか無くて構わないと言ってるのに等しいです。
自分の行いがいいか悪いかということとは全く関係ありません。
SNOWDEN.jpg
ところで、この映画を見る以前にこんな本も読んでいました。
●小笠原みどり著「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」
昔から個人情報に興味があった元朝日新聞の記者、小笠原みどり氏がスノーデンに単独インタビューしてまとめたのがこの本です。
彼女は、アメリカによるアフガニスタン紛争の際に朝日新聞がそれを肯定したことに失望し、その後同社が方向性を見失ったことにも失望して社を去ります。
その後カナダの監視研究の先駆者に学んで勉強し、妊娠・出産・子育てをしつつ研究を重ねて、この本を出版します。
この人もすごいファイトであります。
「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」小笠原みどり-
●エドワード・スノーデン、青木 理、井桁 大介、宮下 紘、金 昌浩、ベン・ワイズナー、マリコ・ヒロセ著「スノーデン 日本への警告」
前半は東大で講演したスノーデンの話が対話形式でつづられています。
これを読んでも彼がとても冷静で謙虚なことがわかります。
特に本当の意味で賢くて率直な人だなぁと思うのは、彼が知っていることと知らないこと、自分の影響で起きたこととそうでないことをはっきり区別して話していることです。
その聡明さに感動します。
日本国民が政府の諜報活動に対してあまりに無防備なことを、彼は心配しているようです。
「スノーデン 日本への警告」エドワード・スノーデン他-
そして映画を見た後、原作も読んでみました。
●ルーク・ハーディング著「スノーデンファイル」
こちらはスノーデンがどういう経歴の人で、どういう経緯で内部告発者になったのかが書かれています。
ルーク・ハーディングはガーディアンという新聞社の海外特派員で、そのガーディアンこそが最初にスノーデンの暴露記事を載せたのであります。
最初彼は、これほどの物議をかもす内容の記事を体制に気を遣わず載せてくれるのはよほど気骨のあるジャーナリストじゃないとだめだと思い、それに値する人物を探します。
そしてガーディアンのグリーンウォルドに狙いを定めてコンタクトを取ります。
ところが彼はどちらかというとパソコン音痴で、スノーデンが暗号化ソフトをダウンロードしてくれれば重要な情報を渡すと言っても乗り気ではありませんでした。
やり方がよくわからないし、この未知の男が何をしようとしているのか分からなかったからです。
そんなこんなで内部告発する前後、そののちに渡って何度も危機一発を潜り抜け、どうにか今日に至っています。
たった一人の人間でも最強の権力機関を敵に回して内部告発をやってのけた、これはほんとに驚嘆すべきことです。
彼に私心がなく、ただこのアメリカによる全世界への諜報活動を知らしめたいという一念だけで、自分のすべてを失っても心の声に従った、それゆえ天も彼に味方したのでしょうか。
「スノーデンファイル」ルーク・ハーディング-
SS

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[2024/03/30 15:37] | 映画 | page top
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