![]() ブラム・ストーカー著「吸血鬼ドラキュラ」を読みました。 ブラム・ストーカー君はアイルランドの小説家で、1897年刊行のこのゴシック小説は吸血鬼モノの定番です。 物語は全て日記、手紙、電報、マスコミの記事の羅列ですが、記録風なのでかえって真実味があるように感じられます。 逆にこのような入れ子構造だと、臨場感やスピード感が若干削がれていると言えるかもしれません。 当時、このような小説の構成のギミックは流行っていたようです。 小説は文庫本で500ページを超える長編です。 現代からみれば、余計な話(回りくどい受け答え、情景のいやに細かい描写、死んだ人の遺産相続など本筋から外れる内容)も多く、読み進めるのにそれなりの努力を要します。 が、逆にそれによって物語に厚みが出ていますし、読み慣れた後半は楽しみ倍増です。 付け加えると、訳者(1902年生まれ)の言い回し(特に会話文)も何か変で、首を傾げる表現が多々あります。 僕自身古めの文章は読み慣れているので、翻訳が古いからという事でもないと思いますが??? そして日本語のタイトルの「吸血鬼」はいらなかったのではないでしょうか。 今からでも遅くはないので原作通り「ドラキュラ」にしませう。 ![]() さて、この本を読むまでドラキュラについて特に詳しくありませんでした。 僕の知っているのは、藤子不二雄君のテレビ・アニメ「怪物くん」でトマトジュースを飲んでたドラキュラ。 ![]() それからドラキュラ俳優ベラ・ルゴシ君、それもティム・バートン監督の映画「エド・ウッド」で知っていたぐらい。 映画での役者は勿論ベラ・ルゴシ君本人じゃなくてマーティン・ランドー君(なんとこれでアカデミー助演男優賞受賞)。 ![]() 十字架やニンニクが苦手、昼間は寝ている、血を吸われるとその人も吸血鬼になる・・・なんて事は一応知っていましたけどね。 もうちょい詳しく調べてみると、ドラキュラという名前はストーカー君の創作ではなく、小説の舞台トランシルヴァニアで話されるルーマニア語で「竜の息子」という意味らしいです。 ドラキュラのモデルは15世紀のワラキア公ヴラド3世、通称ドラキュラ公だそうです。 吸血鬼ではありませんでしたが、国民や敵兵を大量に串刺しにして処刑したので串刺し公とも呼ばれたそうです。 ![]() 因みにこの小説、1990年まで共産主義政権下のルーマニアでは発禁書だったそうです。 「国の印象を悪くするデタラメもいい加減にしろよな!」という事でしょうか。 まあ、小さな自国だけで発禁にしてもあまり効果がなかったと思いますが、チャウシェスク君。 この小説の読後感はと言うと・・・内容は思っていたより面白いでしたが、まるで几帳面な報告書を読んでいるよう。 怖い話ではないので、ホラー嫌いな僕にとっては何よりでした。 KS |
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