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BOUNDLESS
カリスマCEOから落ち武者になった男-
ニック・コストフ、ショーン・マクレイン著「カリスマCEOから落ち武者になった男」を読みました。

日本語サブタイトルにあるように「カルロス・ゴーン事件の真相」について書かれた本です。
彼は仮保釈中に楽器ケースの中に潜んで日本を脱出し、今も捕まらずに悠々自適の生活をレバノンで送っています。
なぜ?どうして捕まえないの?
それはどうやらレバノン政府が彼を保護していて、日本への引き渡しを拒否しているからだそうです。
国内にいる限り彼は安全なんだって。

そもそもレバノンという国は国を挙げてタックスヘイブンを推し進め、世界中の富豪に「我が国にお金を預ければそちらの国の当局に知られずお金を増やせますよ!!」とアピールしているそうで、「(法律違反でも)うまいことやったらやったもん勝ち!」という風潮があるようですね。
もちろん賄賂も通り放題、金さえあればなんでもできると思われても仕方ない国のようです。
ゴーンと言えばルノーのCEOだったせいか、フランス人というイメージがありますが、実はレバノン人なんですねー。

カルロス・ゴーンの父親はブラジルのジャングルでゴムの採集をし一財産築きますが、それだけでは飽き足らず、友人の神父と組んで金とダイヤモンドの密輸を始めます。
神父なら税関も聖職者ということで審査が甘いところに目を付けたのです。
しかしながら、その神父が自分の取り分をちょろまかしていると思い、彼を殺してしまいます。
正確には殺し屋を雇い、脅そうとしたところを殺し屋がほんとに殺してしまうのです。
という訳で刑務所に送られますが、その父親を脱獄させようと看守に賄賂を贈ったとのことで、今度は母親も逮捕されてしまいます。
なんともはやの一家です。
後に父親は刑務所から出ますが、今度は偽札づくりの容疑で再び逮捕されます。
懲りない奴らであります。
そういう家庭で育ったカルロスは、自分の才能と頭の良さでかならず世界的な大企業のCEOになるんだ!!という野望を抱いてパリの名門校を卒業します。

この本の前半は太閤記のようで、秀吉が己の才能で立身出世していくのと似ています。
まずミシュランの会長に認められ次期CEOと目されていましたが、ルノーのCEOに見初められたらさっさとそちらへ移ります。
その頃ルノーと日産のアライアンス(同盟のようなもの)の話が出て、結局彼はルノー側の代表として日産のCEOに就任します。
それからは2兆円という巨額の負債を抱えた日産を立て直し、ルノーと日産両方のCEOに就任して世界中をあっと言わせます。
そのやり方は実に明快で、1300を超える関連会社の持ち株を売って現金を作り、採算の悪い工場は閉鎖してリストラを図り、経費節減で車の値段を安くして販売台数を伸ばす、などなどです。
しがらみに縛られ、強力な組合を恐れて何もできなかった旧経営陣と違って、バンバン新しい方策を実行に移した結果、日産は見事に立ち直ります。

しかし彼の中では、「こんなすごいことは自分にしかできないのだから、それに見合う報酬をもらうのは当然の事」という価値観が強固にあって、最初年収は16億でした。
しかし日本政府がリーマンショック後に大企業のCEOはその年収を開示すべしという法律を作ったので、この年収を開示すれば日本中の非難を浴びると恐れた彼は年収を8億9000万に下げます。
でも、やっぱり金が欲しい!!という訳で、残りの7億1000万を手に入れるべくあれこれ画策します。
子会社を作ってそこへ送金させたり、知人の口座を利用してお金を迂回させて自分の口座に入れたり、妻の名義でクルーザーや別荘やヨットを買ったり・・・。
それがのちに日産から横領罪や特別背任罪で訴えられる原因になります。

現在も彼は逆に日産を名誉棄損で訴えたりして、意気盛んなようです。

でもね、情けない最後ですよね。
あまりに情けない。
自分の築いたほとんどすべてを失う事になって、大成功もこれでは大恥に終わってますよ。

SS

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[2024/02/29 08:37] | | page top
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