![]() BS12でひっそり(?)と「探偵物語」の再放送をしています。 どんな番組か一応簡単に説明しておくと、私立探偵の工藤ちゃん(松田優作)がマッポの妨害を受けながら曲がりなりにも客の依頼に応えていく、というものです。 昔初めて見た時は、暗い能面のような松田優作選手が急ににやけて戯けた役柄になっていたのでビックリしました。 「ムー」の郷ひろみ選手にも違う意味でビックリしましたけれどね。 当時は面白おかしく見ていた記憶がありますが、今見直すと映像や内容は雑でアングラ的だった事が分かりました。 話なんて作りながら適当に考えて、許可など取らずにゲリラ的に撮影しているような・・・。 (本当にそうだったりして。) ![]() とは言え、この番組に影響を受けた若者は沢山いたと思います。 まずベスパのスクーター。 魚屋が乗るようなダサいスクーターというものが、カッコいいと見直されたんです。 (但しイタリア製がボロだという事はドラマでも嘆いています。) 当時日本ではスクーターというものは死滅状態でしたが、この後日本製商品がどんどん出てきましたよね。 ![]() 次に廃屋のような事務所。 小汚いけど妙なセンスのあるボロい建物(番組で使用したのは古い病院)が、これまたカッコいいと見直されたんですね。 その後のウォーター・フロントの倉庫ブームも、元はこの番組の影響ではないでしょうか。 ![]() その他にも・・・ ジーパンにTシャツではなく、(ちょっとズレているけれど)時代の先を意識した黒いスーツ姿なのもグッド? 聞き込みの時など、まるでインタビューのように執拗に録音マイクを向けるのもグッド? 高級ホテルなんかのプールサイドでウェイターに飲物を頼む時に「酪農牛乳」なんて言ったりするのもグッド? 僕の友達の間では、タバコを吸う時にライターの火をボアーッと大きく付けるのが流行りましたよ。 日本のドラマやアニメにありがちな仲間で何かを解決するのではなく、一人で悪戦苦闘というのも良いでした。 近所の顔見知りや協力者も出てきますが、大抵は役立たずか金目当て。 ![]() この番組世界は一般ピープルの流行の方向性を示すというよりも、ある種先鋭的で風変りな人達の嗜好性を刺激するものだったように思います。 そして、それまでの「カッコ良い、お洒落」と思われていた常識を、肩の力を抜きながらぶっ潰していたのでは。 このセンスはかなり物事が分かったお方(製作者)の仕業でしょう。 今の時代に見て感じるのは、カウンター・カルチャーがパンクを通過してニュー・ウェイヴの前夜祭・・・という雰囲気。 松田優作選手も楽しんで演じているように見えます。 体制をものともしない言動、今のヒツジのような方々にはどう映るんでしょうか。 KS |
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