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出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記
出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記-
宮崎伸治著「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」を読みました。

このシリーズは大体読んでいます。
おおかたはシルバー世代の方で、低賃金でやりがいの無い仕事をしている人が、誰かに話を聞いて欲しい・・・と書いているケースが多いです。
でも、やはりそこは人生なので、一見やりがいの無い仕事でくさくさしていても、その人のつぶやきが面白かったり、しみじみしたり、わりと読ませるんです。
今回は60歳前後の方なので、そんなお年ではありませんが、リタイアを決意するまでの顛末が書かれています。

大学卒業後、イギリスへ留学し、英語力を磨いて翻訳家として勝負するつもりだった著者が思い描いていた未来とは・・・。
自分の名前入りの翻訳書が書店に並び、ベストセラーになり、印税がガバガバ入る、はずでした。
実際、10年間で60冊近くの翻訳書を出版し、中にはベストセラーになったものもあって、活躍したのでした。

ところが、出版業界というのもクセモノで、大急ぎで仕事をさせておきながら、出版直前で「この本は売れそうにないから出版をとりやめます。」ということがまかり通っているらしい。
契約書もしつこく言ってもなかなか出してくれず、出したとしても、「やはりこれは出版しかねます。」と平気で言える程度の効力しかないらしい。

翻訳料はもらったとしても、訳者としては自分の血と汗の結晶である翻訳作品が出版されないのは到底納得できず、裁判も何度か起こしておられます。
特に3度目の裁判が、精神的にも経済的にもダメージが大きく、疲れ果てた上に「出版社恐怖症」にかかったとのこと。
たとえどんなに約束しようとも、それを誠実に守ってくれる出版社などこの世にない!!という絶望感におそわれ、出版社に売り込みをかけなければ成り立たない「翻訳家」という職業をあきらめざるをえなかったとのこと。
お気の毒であります。

しかしながら、この本を読んでいると、この人のやり方、あんまりうまくないなぁと思ってしまいます。
かたくななんです。頭も、やり方も。
もうちょっとうまくやっていく方法があるんじゃないかと思います。

それというのも、建築設計業も報われないこともままある職業で、せっかく設計をしたのに、「やっぱりやめます・・・」ということもよくある話です。
そんな時どうするか?
そこまでの設計料を支払ってもらえるよう努力もするし、最初に設計契約を結んで書面を取り交わしておくことも重要です。

しかし、それでも支払ってもらえないこともありえます。
金額が大きければ、弁護士に相談して事によっては裁判ということもあるのでしょうが、まぁしょうがないか、次はがんばろう・・と気持ちを切り替えることもあります。
プロを使っておきながら、そんなことするとはプライドが許さない!!!と腹を立てまくり、夜も眠れないほど怒りに身を任せるっていうのは、心身をむしばんでしまうでしょう。
気分転換でもして、もうちょいしたたかに身を処する方法もあるのでは??

ところで、翻訳家をあきらめた著者は今は警備員の仕事をしている、とありますが、ネットで調べると「文筆業」とあります。
なあんだ、結局物を書いてお仕事をしてるんじゃありませんか。
警備員は副業?それとも、そちらが本業?
それはわかりませんが、「その後」も出版されそうな方ですね。

SS

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[2023/07/26 10:43] | | page top
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