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ゴッホの耳
ゴッホの耳-
バーナデット・マーフィー著「ゴッホの耳」を読みました。

ゴッホ君と言えば、死後に有名になって今では誰でも知っている画家ですね。
僕はアムステルダムのゴッホ美術館にも行った事があるのですが、この本を読むまでそれ程彼に興味はありませんでした。
ならなぜ読んだのかというと、この単刀直入で不気味な題名(原題も「VAN GOGH'S EAR」で同じ)が気に入ったのです。

皆がゴッホ君について知っている事と言えば・・・
アルルでゴーギャン君と共同生活をしながら売れない絵を描いていた事
仲の良い弟で画商のテオ君に生活の金銭的な面倒を見てもらっていた事
耳を切り取って娼婦に渡した事
頭がおかしかったんじゃないかという事
自殺した事
バブルの頃、「ひまわり」を日本の保険屋が50億円以上で購入した事。(実物を見たけどそそられる絵じゃないですね。)
・・・などでしょうか。

そういった(特にアルル時代の)常識ひとつひとつに疑問を呈して、ゼロから調べあげた本がこれです。
書いたのはイギリス人女性で、大人になってから南フランスに移住して色々な仕事をしたそうですが、美術関係者や作家などではありません。
自宅がアルルに近い事などからゴッホ君に興味を持ったそうで、素人だけに定説をものともせず独自の方法で調査しまくった血と汗と涙の結晶なのです。

途中で「専門家が長年研究しているので自分などに新しい事実を発見できるはずない」などと弱音を吐いていましたが・・・
それでもゴッホ君がアルルにいた時期の住民全てについて役所で調べ上げたり徹底していて凄いのです。
耳の事件でも、耳たぶだけじゃなくて耳全体を切り取った事実の証拠(当時の医者のスケッチ)を探りあてました。
この本は出版時、BBCにも取り上げられ話題を呼んだそうです。
バーナデット・マーフィー-
恐竜やマヤ人などの過去の研究の例を引くまでもなく、いわゆる専門家の定説でも全く間違っている事があります。
ゴッホ君の場合、19世紀という最近の人だし、書簡などの資料も沢山残っており、アムステルダムにゴッホ専門の立派な美術館があったりして研究も盛んです。
それでも素人の執拗な調査で新事実が出てきたり常識が覆ったりするのですね。
それがビックリで素晴らしい事だと思ったのです。

研究者というのは専門分野にとらわれて、というかそれ以外をあまり知らず、結構視野が狭いのでしょう。
美術だと美術に関係する事だけ研究しているのでしょう。
それに比べ、バーナデット・マーフィー君は美術のプロじゃないだけに幅広い着眼点を持っているように思いました。
絵描きの事を調べるのに公文書館に入り浸ったりする人はいないでしょう。

さてさてさて、いずれにせよどんな事でも「そうなのかな?」と思ったら、自分で調べてみたり声をあげたりするのは大切です。
いつの時代でも一番怪しいのは国家かもしれませんけどね。

ところで、僕にとっての長年のゴッホの謎、というか素朴な疑問。
それは耳を切った後に描いた自画像2枚があまりに似ていない事です。
こちらが「耳に包帯をした自画像」。
耳に包帯をした自画像-
次の「包帯をしてパイプをくわえた自画像」は目が寄ってマントヒヒみたいで、どう考えてもおかしいでしょう?
誰も変だと思わないのでしょうか?
包帯をしてパイプをくわえた自画像-
どちらも同じ格好と耳の怪我をしてますが、明らかに絵が下手クソか別人かどちらかでしょう???

このように僕は「ゴッホの絵」ではなく「ゴッホの耳」に興味があった訳ですが、「ゴッホの目」についても知りたくなりました。

KS

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[2023/07/08 15:31] | | page top
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