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ねじの回転
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「ねじ」という言葉には妙に引っ掛かりを感じます。
漫画の「ねじ式」(つげ義春著)とかね。

今回はそれよりも随分古い1898年の小説「ねじの回転」(ヘンリー・ジェイムズ著)について。
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昔のイギリスが舞台の話だけあって、ヴィクトリア朝時代の習慣、道徳、階級意識が分からないとピンとこない部分があるかもしれません。
語り口も遠回しで回りくどく、それでいて大袈裟。
読んでいて「そんな事、単刀直入にパッパッと話し合えばいいのに。」とイライラします。
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さて、どんな内容かというと、郊外のお屋敷に住み込みの家庭教師(ガヴァネス)として雇われた若い女性と、そこに住む兄妹(子供)と家政婦の話です。
幽霊が出てくるので一種のホラー小説なのかもしれませんが、怖い話ではありません。
それよりも登場人物の心理的駆け引きに重点が置かれた変わった小説です。
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実はこの小説を読むのは2度目でしたが、どうしてなのか読後感が全く違いました。
訳者が違ったからか、前に読んだ内容を忘れてしまっていたからか・・・不思議です。
似たような事は「ドグラマグラ」(夢野久作著)を2度目に読んだ時にもありました。
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ところで、最初にこの小説を読んだ時、その遥か昔にテレビで見た映画を思い出しました。
「妖精たちの森」(1971年 マイケル・ウィナー監督)です。
インターネットも無かった頃なので特に調べたりしなかったのですが、似た設定だけど何か違う話なので変だと思っていました。
今になって分かったのですが、この小説の前日譚だったのですね。
小説に出てくる2人の幽霊が生きていた時の話です。
(と言っても映画の内容は小説には無い創作でしたが。)
ややっこしい話ですが、一応モヤモヤが無くなりました。
妖精たちの森-
最後にこの本の表紙のイラスト。
登場人物の兄妹でしょうけど、なんだかイギリス人には見えないですよね。
内容に比べてガッカリな絵なので、もうちょっと白人を練習をしてから描いてほしかったです。
ねじの回転-
結論・・・
一番面白いのは「ねじの回転(THE TURN OF THE SCREW)」というタイトルと内容とのギャップかもしれません。
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KS

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[2023/05/09 21:59] | | page top
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