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私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか
私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか2-
ロジャー・コーマン著「私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか」という長ったらしいタイトルの本を読みました。

タイトルが長い(原題も「How I Made A Hundred Movies In Hollywood And Never Lost A Dime」)のはそれなりに受けるとしても、真面目に直訳しないで「10セント」を「1セント」にした方がスムーズで良かったと思いますね。
それから表紙(日本語版)が最悪。
もう少しまともなデザインだったらもっと早く読んでいただろうに。(なんてね。)

ところで、ロジャー・コーマン君って誰でしょう?
映画好きはご存じでしょうが、1926年生まれのアメリカ人映画監督・プロデューサーです。
ROGER CORMAN 2-
アメリカの他の映画人と何が違うかというと、本のタイトル通りです。
映画って大手でも平均するとそれ程儲かる商売じゃないようなのですが、彼は「長年、着実に利益を上げた」という事なのです。
作品の多くは低予算のB級きわもの映画で、それも大量に作りました。
監督作50本超、プロデュース作500本超という事で、世界一ケチで世界一多作、どうかしてる人です。

でもこの人の偉い所は、悪魔に魂を売り渡さなかった事でしょう。
売り渡さなかった相手は勿論ハリウッドの大手映画会社なので大変な事です。
彼の場合、ほとんどはインディペンデント映画として制作しており、自分の作りたいものを作り自由を守った訳です。
スターを集めて湯水のようにお金を使った娯楽大作なんかは無いですけどね。
THE LITTLE SHOP OF HORRORS-
彼の元には無名だけれど熱意のある映画人が集まりコーマン・スクールと呼ばれ、そこから大きく羽ばたいていった人達も沢山いました。
例えば、ジャック・ニコルソン君、ロバート・ヴォーン君、ピーター・フォンダ君、ロバート・デ・ニーロ君、シルベスタ・スタローン君、フランシス・フォード・コッポラ君、マーティン・スコセッシ君等々。
まるでルネサンス期フィレンツェのアンドレア・デル・ヴェロッキオ君の工房みたいですね。
褒め過ぎなら、イギリスのジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ。

ロジャー・コーマン君と言えば「くだらない低予算映画を量産した強欲でレベルの低いおっさんだ」とず~っと思っていました。
実際に見た映画は少なく、印象に残っているのは「イージー・ライダー」の制作に影響を与えた「ワイルド・エンジェル」ぐらいです。
内容は、暴走族がたくさん出ていた事ぐらいしか覚えていませんが。
昔、安く放映権を買えそうな映画ばかり日中に放映していた東京12チャンネルで彼の作品をいくつか見た事があったかもしれません。
THE WILD ANGELS-
さて、実際のコーマン君はインテリで冷静、既成概念にとらわれない発想で映画を作っていたようです。
体制にたてつくカウンター・カルチャー的な姿勢は崩さず、自由でいる事を念頭に置いて制作をしていました。
但しコスト・コントロールにはシビアなので、この本のタイトル通りの運営ができ、理念先行で破綻するような事がなかったのでしょう。
そして自身が監督や制作をしながら、ハリウッドに集まる若い才能にも男女の区別無くどんどんチャンスを与えました。
・・・というような事を初めて知り、これは結構尊敬できる人物だと思ったのです。
(昔、アメリカ人デザイナーのレイモンド・ローウィ君の自伝を読んだ時と近い印象を持ちました。)

何かを会社や組織などに頼らず自分の力でやっていきたいと思う人達には、特に読んでもらいたい本だと思います。
巷のノウハウ本なんかより遥かに役に立つのではないでしょうか。
僕のように、ほとんど彼の映画を見た事がない(もしくは覚えていない)人間が読んでも十分楽しめる内容です。
「寄らば大樹の陰」なんて言葉をこっそり重んじている人には無用な話ですけどね。

KS

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[2023/04/26 10:29] | | page top
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