![]() モロッコのマラケシュで結成されたバンドBAB L' BLUZの2020年のデビュー・アルバム「NAYDA!」を紹介します。 バブ・ルブルーズは、グナワ音楽(モロッコの伝統音楽)で使うゲンブリ=シンティル(次の写真の手前のおっさんが抱えている楽器)を広く伝える(?)という目標を掲げて始動した、モロッコとフランスの混血ロック・バンドです。 ユスラ・マンスール君の魅惑的な歌声を中心にグナワ・ロックが展開されるのですが、伝統音楽の持つトランス感とスタイリッシュなポップ感とがうまく混じりあって双方の魅力を引き出しています。 そしてそれだけではなく、ブルース、チャビ、アフロ・ビートなど幅広い音楽が背景にあるようです。 ![]() このアルバムはカラフルなジャケット(最初の写真)が気になって買ったのですが、こういうエキゾチックな色彩感覚には惹かれます。 デザイン自体も問題なく最高。 裏ジャケット(次の写真)も・・・地味だけどなんかいいぞ。 ![]() ところで、各国の伝統音楽を単に保存の為に演奏したり聴いたりするのではなく、今様のポップスと結びついて化学反応を起こさせて大きな魅力を生んでいる例が、世界中に多々生まれています。 勿論今までにもあったのですが、最近のものはより自然体でセンス良くこなれていていい塩梅なのです。 作り手のメンバーやスタッフは、地元ミュージシャン+欧米ミュージシャン(もしくは欧米プロデューサー)みたいな感じでミックスされている場合が多いです。 欧米の有名バンドや歌手が、ネタに行き詰まって「ワールド・ミュージックでもやるか」っていうのとは抜本的に違うのです。 つまり、伝統音楽をやるミュージシャンが軸になっているっていう事が重要なようですね。 聴き飽きた西洋音楽とは違う古新しい音楽が、一時的な流行を超えた地球規模なチャンプルーとなりつつあるのではないでしょうか。 (原理主義的な民族音楽愛好家は気に入らないでしょうけど。) 欧米の作り手には「ロックやポップスやジャズが頭打ちになっていてそれを打破するモノが欲しい」という事情もあるでしょう。 でも、それ以上に音楽ファンが多様化しており、その上ワールド・ワイドになっているので、聴き手側も準備OKという事でしょうか。 ![]() 純粋な民族音楽というと、1~2曲は興味をもって聞く事ができますが、それ以上は勘弁という事がありますよね。 耳障りな音楽だったりしたらまるで体罰です。 音楽は「お勉強じゃなくて楽しめなければ」と思うので、このような潮流は(メジャーじゃないかもしれないけれど)とても良い兆候です。 末永く。 KS |
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