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「知る」ための手続き
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初台にある東京オペラシティ アートギャラリーで黒坂祐という人の展示を見ました。

このスペースは若手のアーティストの作品を紹介するコーナーなのだそうです。
しかし、ただ順番に若手の作家を紹介するのではなく、オペラシティで開催中の作家と共振する人を選んでいるように思います。

では、同時開催のライアン・ガンダーとの関係性は何かというと・・・。
黒坂祐が言うには、「ものごとを知るためには、ウェブ上で検索して即座に情報を得るような方法ではなく、もっと迂遠で手間はかかるが、一定のプロセスを踏むことにより、現実の手ざわりを得て、目指す知識へとアクセスしていくような、そうした方法が必要である」とのことです。
これです!(たぶん)
二人とも現代社会に関して、あまりに短絡的に情報を得てただちにそれを消費していくようなSNSに疑問を呈しているのです。

あともうひとつ、もしかすると共通点があるかもしれません。
ライアン・ガンダーが車いすを使用しているところを見ると、下半身に問題があるのでしょう。
黒坂祐も色覚障害があり、特に赤が認識しにくそうです。
ふたりともそれを障害ととらえず、「他の人とは違った視点で物を見ることができる」能力と考えているようです。

で、今回の作品は乗り物、特に飛行機と車がテーマのようです。
ふたつとも移動の手段ですが、よく見ると、飛行機はその中に乗り込むのではなく、あくまで車の中から見上げている飛行機をテーマにしているようです。
自動車を運転するときの知覚を、単に車を「もの」として見る時の感覚とは全く違うことを取り上げているそうです。
そういえば、飛行機も中に乗り込んだ時と、下から見上げている時とでは全く違ったものに感じられます。
windscreen (airplane)-
とはいえ、なんだかへっぽこな車です。
小学生が描いたようなヘタウマが作風ですが、絵の中には不穏な空気も流れています。
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ときどき植物をモチーフにした作品もありますが、これも自分がそれらをどう知るか、が関心事のようです。
おっと、よく見るとこの絵がかかった壁の下に赤い小さな車があるのが見えるでしょうか?
ミニカーです。
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そういう目でこのコーナーを見渡してみると、あっ、あちこちにひっそりミニカーが置いてあります。
うっかりすると見落としそうですが、確かにそこここにありますね。
このミニカーに乗り込んで、これらの絵を見上げると想像してみましょう。
うん、これは新しい知覚でしょう。
自分の視点をどこに置くかで、ものごとが全く違って見える、そんなことを経験させてくれる作家です。
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SS

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[2022/08/29 07:21] | アート 3 | page top
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