![]() 東京駅にある三菱一号館美術館で「上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展」を見ました。 副題に「ウィーン生まれのカワイイです。」とあります。 しかしながら、おそらく「カワイーイ!」と今どきの婦女子に言われるような筋のものではありません。 筋金入りの、いや正真正銘のウィーン工房のデザイナーです。 まずもって会場であるこの建物。 三菱1号館美術館ですが、実はジョサイア・コンドルの設計です。 そうです、鹿鳴館やニコライ堂を設計した日本近代建築の父コンドルです。 由緒正しき様式建築であります。 ![]() で、こちらが上野リチさんの図案、デザインパターンのひとつです。 けっこう大胆な柄ですね。 カーテンなどのテキスタイルにするといいかも。 ![]() こちらはイースター用ボンボン容れのデザインだそうです。 横長の鳥さんですが、ボンボンいれにするには安定悪そう。 ![]() こちらは内装のインテリアパースだそうです。 ご主人が建築家の上野伊三郎という人で、2人で建築やインテリアの設計も行ったそうです。 会場には個人邸の設計図もありましたが、外観はモダンなのにプランは8畳間や6畳間が縁側でつなっがている伝統的日本家屋、ちょっと違和感ありました。 (おそらく)木造と思われますがRC造のような陸屋根で、雨漏りは大丈夫だったのかしら。 これに限りませんが、インテリアデザインやパースについてはあまり良いとは思いませんでした。 ![]() この人の本領が発揮されているのは、このような七宝焼きなどの小物でしょう。 ウィーン工房らしさ、時代の空気、そして鮮やかな色使いが魅力的です。 なんとこれは、マッチ箱ケースだそうです。 こんなおしゃれなケースに入れて持ち歩いたのかしら?それとも置物のようにテーブルの上に飾っておいたのかしら。 ![]() ところでこの上野リチさんは、私の母校、京都市立芸術大学のデザインの先生だったのです。 そういえば在学中に一度だけ、この方についての話を聞いたことがあります。 なんでも、昔ウィーンからウィーン工房の女性の先生が教えに来られて、その人が今のデザイン科の基を築いたのだとか。 だから、他の多くの芸大のデザイン科はバウハウス系の教育プログラムなのに、京都芸大だけはウィーン工房系なのだとか。 そのオーストリア人の先生が、長いドレスの裾をつまんで、京芸の中央階段を静々と降りて来られると、学生たちも道を開けたものだというお話でした。 「へえぇ、この学校にもそんな優雅な方がいらっしゃったのか!」と思ったものです。 写真を見る限り、美しい方ですね。 先生の多岐に及ぶスケッチや作品を見て「私もこうしちゃおられない!もっと創作活動に励もう!!」と思いました。 卒業後久方振りの出会い(?!)でした。 ![]() 展覧会は今日まで。(注:会場はおばさんだらけ) SS |
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