
高野秀行の「アジア新聞屋台村」を読みました。
ある時、著者のところに1本の電話がかかってくる。
「エイリアンのレック」という謎の女性から原稿の依頼である。
しかも相手は怪しい日本語、まさか宇宙人が自分をたぶらかしているのでは・・・?
という訳で、とにかく会いに行くとそこは「エイジアン」というアジア新聞社で、台湾・ミャンマー・インドネシア・マレーシア各国の新聞を出しているのだった。
在籍するのは中国人・インドネシア人・タイ人・韓国人、飛び交う言語も4か国語、パソコンの入力文字もそれぞれ、だけどオフィスでの共通言語は日本語。
昼休みともなると、各国料理の強烈な匂いのお弁当でクラクラ・・・・。
それなのに、仕事のやり方はまるでみんなで文化祭をしているノリ。
全然プロっぽくない。
よくこんなやり方で毎月ちゃんと各国新聞が発行されていること!
と思うのだけれど、こんなところにひょっこり現れた日本じゃない世界にすっかりのめり込んでしまう。
これはもうアジア屋台のごった煮のような世界だ!!
という訳で「アジア新聞屋台村」。
ここの社長の劉さんがまた面白い。
著者に言わせると見た目は「遊び人風バイトねえちゃん」。
しかし外見とは異なり生まれ育ちはお姫様なれど、バイタリティーと持って生まれた商売のセンスで次々事業を起こしていく。
思いついたことはとにかく実行してみる。
失敗を恐れない。
走りながら考える。
というと聞こえはいいが、その実いろいろなところの詰めが甘くて管理がずさん。
それを日本人の高野氏が責めると、自分にできないことはできる人を連れてくればいいとばかりに、いつのまにかどこからか新社員を連れてくる・・・。
何だかんだ言っても、こういう日本で事業を起こしている外国人の人達は、日本と母国の違いが鮮明に分かっている。
「日本人は職人だから、モノを作らせたら世界一。
だけど職人に発明や商売させたって無理。
発明は欧米系が一番。
商売は中国人が一番。
だから発明は欧米人に任せて、それを商品にするのは日本人がやって、できた商品は台湾人が売ればいい。
これがグローバリズムよっ。」
なんだそうです。
さすが国際企業の経営者は発想が違う。
この元お姫さまイケイケ姉ちゃん風、実はガッツ野郎の女社長は、今日も高田馬場あたりで、元気に新聞発行をしてるのでしょうか。
人生一度きり、やったもの勝ちってことか?!
SS