
許永中の「海峡に立つ」を読みました。
バブル末期から崩壊後にかけて、大規模ないかがわしい事件にまつわりしょっちゅう彼の名前が取沙汰されていたので、記憶されてる方も多いかと思います。
なにしろ、巨漢な上にスキンヘッド、いかにも悪そうな面構え、ひいき目に見てもいい人には見えません。

イトマン事件をご存知でしょうか?
イトマンという大阪の商社を舞台に繰り広げられた、戦後最大と言われる経済事件です。
その首謀者が許永中で、自分の所蔵する絵画や美術品などなどをイトマンに法外な値段で売りつけて不当な利益を出し、そのうえそれを闇業者(暴力団)に渡したとされ、その額、実に3000億円といわれています。
「悪いやっちゃ!!」と当時のニューズ聞いてて思ったものです。
ところが、本人に言わせると、イトマン事件は冤罪で、美術品を購入したいと言ったのはイトマンの方で、価格も仕入れ値の倍ほど、美術品の売買ではそんなことは当たり前なんだそうです。
それならなんで逮捕されたの?
それはこのイトマンの社長というのが住友銀行の頭取とねんごろで、イトマン事件の住友側の弁護士小嶌氏が「許永中逮捕」に執念を燃やしたからだというのです。
とにかく許永中を逮捕する、というのが当局の目的だったこともあって、どうにもならなかったと言います。
もうひとつ、彼がかかわった有名な事件に石橋産業事件があります。
許永中と田中森一弁護士が仕組んだといわれる手形詐欺事件です。
この田中森一って人の著書も読んだ事ありますが、一筋縄ではいかない人なんですねー。
もと東京地検特捜部にいたのに、やめた後、暴力団の顧問弁護士をして巨額の報酬をもらい、闇社会の守護神と言われた人です。
いわゆるヤメ検です。
当然検察はこんな奴は許せん!!!絶対逮捕してやる!!!という訳で、この2者の闘争にも巻き込まれて自分も逮捕されたというのですが・・・。
だけどねー、アル・カポネだって、最初に逮捕されたのは脱税容疑だったんですからね。
悪人であることがわかりきっていて、野放しにしているともっと悪いことをしそうなやつを逮捕するには、立件しやすい容疑を立てるのはあたりまえでしょう。
しかしこの本を読んでると、つくづく政治家と闇社会は密接につながってるんだなぁーとため息が出てきます。
竹下登、亀井静香、渡辺美智雄、金丸信、安倍晋太郎、新井将敬、もうぞろぞろその名が出てきます。
だから汚職はなくならないし、利権を優先させる政策もまかり通るのでしょう・・・。
SS