![]() イギリスのバンドBE-BOP DELUXEの1974年のアルバム「AXE VICTIM」を紹介します。 これはビル・ネルソン君の(メンバーの一人に依存しているという意味での)ワンマンバンドのデビュー作です。 個人的にはワンマンバンドってバンドの意義を感じないので嫌いなのですが・・・これはいいアルバムなんで。 「ビー・バップ・~」というセンスのないバンド名と言い、アルバム・ジャケットと言い、「美しき生贄」という馬鹿げた日本のタイトル(ロック爛熟期の当時こんなのが多かった)と言い、何か訳が分からないですよね。 時代はちょっとずれるけれど、「ビー・バップ・ハイスクール」なんてガッカリなものを連想する人もいるかもしれません。 しかし、そんな先入観と実際の内容が全く違うのです。 全て誤解というか、悲劇というか、自業自得というか・・・日本のレコード会社も片棒を担いていますけどね。 アルバム自体は、ネルソン君が自作のポップな曲を歌いまくってギターを弾きまくる至って親しみやすい作品です。 グラム・ロック期のデヴィッド・ボウイ君がストレートになったみたい、と言えるかもしれません。 この後のセカンド・アルバムからはソリッドなサウンドが少し後退するので、溌剌としたものを聴きたければこのアルバムで。 彼らのディスコグラフィーの中では、一番取っ付きにくいジャケットのこのアルバムが一番取っ付きやすいかも。 ![]() ジャンルってどうでもいい事なのですが、音楽の傾向を知る上で一応説明しておきます。 ジャケットなどをみるとレコード会社はグラム・ロックとして売り出そうとしたのでしょう。 けれど、ネルソン君がボウイ君と比較されるのを嫌がっていた事や、その後の音楽性からも分かりますが、彼自身はとても不満だったのでは。 という事からなのか、今ではアート・ロックにも分類されているようです。 アート・ロックはロック・ミュージックのサブ・ジャンルですが、アーティスティックでアバンギャルドなアプローチのロックを指します。(テキトー) ネルソン君がジャン・コクトーやアンドレ・ジイドに傾倒していた事からそう言われているのかもしれません。 でも、アウト・プットされた音楽自体はニッチでメロディアスなポップ・ロックですけどね。 英国には、その時代の音楽潮流に当てはまらないけれど良質でポップなバンドがポツポツあります。 (BAD FINGERとか10CCとかSTACKRIDGEとかJIGSAWとかPILOTとか) このバンドもそんな感じなので、是非お試しください。 KS |