
例年、年末年始やお盆はどこ行っても人が多いし値段も高いので、賢く出かけない事にしています。
なので今年もいつもと変わらないのですが、世の中の自粛ムードに引きずられ、家でマイケル・ムーアの本を何冊か読みました。
その中で紹介したいのは「マイケル・ムーア、語る。」です。
出版から月日が流れましたが、こういう本って旬があるんでしょうね。
まあいいか。
読む前に言いたかったのは「タイトルが全然違うじゃん!」。
原題は、次のアメリカでの表紙の通り。
せっかくのおふざけタイトルが日本では無難になって台無しです。
ダメなのは勿論日本の出版社ですけどね。

ところで、皆さんご存知のマイケル・ムーア君はジャーナリスト、映画監督、テレビ・プロデューサーなどの顔を持っています。
その中でもドキュメンタリー映画の監督として一番有名だと思います。
映画は、突撃取材で言いたい放題のめちゃくちゃかと思えば・・・
「ボウリング・フォー・コロンバイン」でカンヌ国際映画祭特別賞とアカデミー賞を受賞、

「華氏911」でカンヌ国際映画祭最高賞を受賞しています。

この中のひとつでもなかなか取れないでしょうに、この短期間にまとめて・・・なぜ。
その上、マイケル・ムーア君はその少し前まで単なる映画ファンであって映画作りは何も知らなかったんですよ。(本人談)
賞が欲しい世界中の映画監督達からすれば「トホホ」でしょうね。
本の話題に戻りましょう。
この本は2011年(日本では2013年)に出版されたものです。
中身はマイケル・ムーア君のおかしな半生のお話で、それはそれは興味深い内容でした。
当時のタイムリーな時事問題も取り上げられていますが、今読んでもさほど古さは感じません。
世の中(特にアメリカ)は変わっちゃいないんです。
という事で、「トランプ君がホワイトハウスを追い出される」今こそ読んでみるのも良いのでは、と思います。
さて、日本は戦後長きにわたってアメリカの民主主義や文化をお手本にして、犬のように従ってきました。
ワンワン。
それがトランプ政権下、保守的アメリカ白人の「アホでマヌケ」さ加減が表沙汰になり、日本だけじゃなく世界中が「お口あんぐり」状態になったと思います。
バイデン君が大統領になるんでやっと一安心かもしれませんが、なんか気持ち的に元(犬)には戻れませんね。
つまり「アメ公は信用できね~!」って事。
トランプ君自身のバカさ加減も大きかったのですが、実はトランプ君がいなかったとしてもアメリカの問題点は昔から脈々と続いていた事がこの本でよ~く分かります。
長い間、犬は気が付かなかったのでしょうか。
ワンワン。
と言いつつ、本を読んでわかったアメリカ人の長所。
マイケル・ムーア君が「正論だけど少数意見」を発信していてだんだん認められたりするのは、アメリカには「正しいと思えばそれを拾い上げる機能」が存在するからでしょう。
社会的立場や周囲の目よりも自分の考えを優先して賛同の声を上げる人が出てくるのです。
その点は我が国の事なかれ主義からみると羨ましい限りです。
日本人は大事な所は真似できないんですね。
ワンワン。
最後にマイケル・ムーア君ですが、本も映画もインディー感はありますが、話の進め方などが結構うまいと思います。
彼の(素人くさい)作品が評価されるのは、社会問題をクソ真面目に告発するというより、語り口に「本音丸出し」と「人懐っこさ」とがあるからかもしれません。
政治家や小役人や企業が大好きな癒着や馴れ合いも大嫌いのようですしね。
めちゃくちゃをやっているようで、相手を絡めとる方法とエンターテイメント性とをよく分かっている・・・のかな。
KS