
ドナルド・スポトーの「ロッテ・レーニャ ワイマール文化の名花」を読みました。
昔から1920年代と1960年代の欧米文化にとても興味があります。
「ワイマール文化」とタイトルにあれば早速読んでみたくなります。
ただ、ロッテ・レーニャっていう人についてはあまり予備知識がなく(名前を知っていた程度)、「ほとんど知らない人の伝記を読む」という自分としては珍しい事になってしまいました。
彼女について簡単に説明しますと・・・
1898年オーストリア・ハンガリー帝国生まれの歌手兼女優です。
子供の頃は父親に虐待され、十代には一時期売春婦。
その後一人スイスに移り、ダダの空気を吸って芸術を体感。
「三文オペラ」などの作曲で有名になるクルト・ヴァイルと結婚。
それからは夫婦でヨーロッパで活動、第二次世界大戦直前にヴァイル君がユダヤ系だった為アメリカに移住。
一生を通して重要な意味を持つヴァイル君との関係ですが、一度離婚して何と再び結婚しています。
その上レーニャ君は結婚していた間も自由奔放に男や女と関係しまくっていたようです。
ヴァイル君の死後3回結婚をしましたが、自分が死ぬまで彼の芸術の管理・普及・解釈者として重要な役割を果たしました。
(その辺りヴァイル君とは複雑な間柄だったんですかね。)
またレーニャ君自身、専門的な教育は受けていないにも拘わらず、歌手・女優として独特な才能も発揮しました。
主役じゃない時でも舞台での脚光を浴びてしまう、といった次第です。
そして何故か人生後半に何故かアメリカで、特に評価されたようです。
活躍の場は舞台が中心ですが、映画「007ロシアより愛をこめて」にも悪役で出演しています。(見てないけど)
美人じゃないんでボンド・ガールではないですけどね。(年齢的にも)

・・・という事で、この本で面白いのは、色々あったレーニャ君の人生もナカナカなのですが、やはり1920年~30年代のヨーロッパの話でしょう。
当時の文化、芸術家の生態や人間模様を読むのはとても面白いでした。
勃興するアヴァンギャルド芸術、自由を満喫する都市生活等々・・・。
教科書的に書かれている芸術本とは違うナマの人間臭さが伝わってきます。
著者もそう思っているのか、その時代の記述はレーニャ君自身の事がお留守になりがちでした。
そう言えば、ウディ・アレンの映画「ミッドナイト・イン・パリ」も1920年代のパリの文化に対するオマージュでしたね。
その話はいずれまた。
KS