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TOKYO STYLE
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都築響一の「東京スタイル」が文庫本になっていたので買ってみました。
バブル崩壊頃の1993年に上のような表紙の大型本で出版されたので、その頃本屋でパラパラ見た方も多いと思います。
文庫本になったのも大分前のようですけどね。

著者は、「わび・さび」や京都の寺院、日本庭園などなど西洋人が憧れる「これぞ日本!」というような家に住んでいる日本人は全国探しても数少なく、ましてや東京にはほとんどいない、という真実を世界に向けて発信したかったそうです。
いわれてみれば確かにそうですね。
そんな写真集が売れるかしら・・・と渋る出版社を説き伏せ、自らカメラを握って撮影に挑んだそうですが、なんとこれが大ヒットにつながったそうです。

おもに借家暮らしの若い人のインテリアをこれでもか、これでもかと100人近く集めてあります。
しかしなぁ。
建築・インテリアを生業とするわたくしから見ると、もうちょっとなんとかならんのか!!!というお住まいが多いのです。
これは仕事をしていていつも感じることですが、忙しい人=片付けられていない部屋、ではないのです。
忙しいと、何がどこにあるかすぐ出てこないとストレスだし、時間も取られます。
だからすっきり片付けているのだという人もいるのです。
なので、この写真集にあるような部屋に住んでると、「あれはどこにいった???」と探し物をする毎日ではないかと推察します。
そのうえ、散らかっていると掃除がしにくいから、ダニ・ノミ・ゴキブリ・ネズミとも共存状態なのだろうなぁ、と思います。
アレルギーのある人も多かろう・・・。

それにもかかわらず、この写真ひとつひとつをじっと見てしまうのはなぜだろう?
人の部屋をのぞき見しているような好奇心だけではなさそうです。
この部屋の住民たちは、ただ今人生模索中なのでしょう。
ここからどこかへ飛び立つ前のとりあえずの仮の姿。
そして飛び立ちたいと心の中で思いつつも、もがいたり、悩んだりする毎日。
そういうものが垣間見えるので、ひきつけられるのでは?

撮影後2年ぐらい経過したら、インタビューしたほとんどの人がもうそこにはいなかったということですから、やはりみんな(もしかしたらこの写真を撮ってもらったことをきっかけに)飛び立っていったのでしょうか。

SS

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[2020/03/20 09:25] | | page top
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