
倉谷うららという人の「フジツボ 魅惑の足まねき」を読みました。
著者の名前と言いサブタイトルと言い、ヤバそうなムードです。
このような「変な本」は確かに増えてますが、フジツボの本は少ないでしょう。
というか、岩波書店はフジツボの本が売れると思ったんでしょうか。
まあ、クマムシの本なんかも出版しているんで、何か(妙な)考えがあるんでしょうね。
さて、これは女性のフジツボ研究者?(あるいは愛好家?)が書いた、(大人の)一般読者向けの本です。
こういう変わったお方自身にも興味があるので、早速読んでみました。
専門書じゃないので内容は取っ付きやすいです。
が、「フジツボに興味を持ってほしい!」という共感しづらい熱い想いも綴られています。
内容は学術的なことに限らず、オタク的な意味でも多岐に渡っています。
カラーの写真やイラストが多いのでイメージがつかみやすく、そのあたりも高得点でしょう。
(イラストは母親にも描いてもらっているようで、ファミリー・ビジネスですね。)
フジツボって海に行ったことがある人で見たことがない人はいないと思いますが、イガイガと汚らしいイメージ以外はあまりないですよね。
裸足で踏むとヤバそうだし。
ところがどっこい、ダーウィンやゲーテも好んで研究していたのです。
また、イギリスのビクトリア朝時代(19世紀)には、海岸(ビーチではなく磯)に行って無脊椎生物の観察をするのがブームだったそうな。
誰が行くかというと、普通の紳士淑女の皆さん。
次の当時のイラストのように、フジツボのこともじっくり観察していたんでしょうね。

って、そんな聞いたことない話も色々出ているのです。
元々フジツボ関連の話なんて知っているわけないんで・・・興味深いです。
フジツボと聞いて(僕のように)何かかすかなひっかかりを感じた人は是非読んでみましょう。
100ページ余りの薄い本ですが、満足のいく内容だと思います。
読んだ後は早速磯に行きたくなること請け合いです。
春よ来い(はっぴいえんど)・・・。
KS