![]() ガーディアン・ガーデンという銀座の画廊で田凱展「生きてそこにいて」という個展を見ました。 田凱は、中国生まれで日本在住の写真家です。 自分の生まれ故郷の油田都市が、幼いころは発展していたのに、今や荒廃してさびれていっている・・・。 それを、写真家の本能で、フィルムにとどめておきたいという衝動に突き動かされてシャッターを切っている感じがします。 ノスタルジーといえばそうかもしれないけれど、もうちょっと強い感情があるように思えます。 いくら自分がジタバタしてもどうにもならない現実。 作品の中に、自分を含む人物が多々入っているのも、「現実」を見つめる人の視線を意識しているからだと思います。 登場人物はわずかに微笑んでいる人が多く、まるで廃墟に向かう現実を静かに受け入れているようです。 ![]() この大きさでは分からないと思いますが、おそらくこれらの写真は、デジカメではなくフィルムで撮っているのではないでしょうか。 低感度フィルムで撮ったような柔らかな色彩と光がとてもきれいです。 見ていると心が静かに落ち着いていきます。 これは新婚の夫婦を撮った作品ですが、強烈に印象に残ります。 遠くを見るような新婦の表情、こちらに微笑みを向ける新郎、がらんとした室内。 棚の中がからっぽなのも、この空虚な雰囲気をいっそうやるせなく表現しているようです。 ![]() これは、トリケラトプスの骨格模型を皿の上に載せたものでしょうか。 その場にあったものを面白いと感じて撮ったようですが、汚れた壁とテーブル、ゴミ置き場から拾ってきたような皿が、静かに崩れていく雰囲気を感じさせます。 ![]() SS |