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舞洲工場 1
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突然ですが、舞洲工場を見学してきました。

名前は工場ですが、ゴミ焼却場です。
環状線の西九条からバスで20分ぐらいの湾岸の埋立地にあります。
(大阪の話やけどね。)
以前からとても行きたかったのですが、近くにいく用事もなく、ゴミ焼却場ということもあって、なかなか到達できなかったのです。
やっと大阪に行ったのに、すぐ近くのユニバーサル・スタジオにも寄らずゴミ焼却場に行くとは、我ながら変わってますが。

バスが舞洲工場に近づくと、巨大で異様な建物が忽然と現れます。
それもふたつあるではないですか???
これは予定外で勉強不足でした。
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なぜこんなものをわざわざ見に行ったかというと、(いわゆる工場フェチなんかじゃなくて)ゴミ焼却場のデザインをフンデルトヴァッサーが担当しているからなのです。
フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーはオーストリアの画家です。
絵画も独特で好きですが、建築に絡んだ仕事も多く、僕もウィーンで集合住宅(フンデルトヴァッサー・ハウス)を見たことがあります。

彼は建築家ではないので、いわゆるハードとしての建築設計はしていません。
なので、できたものは(建築家好みの嫌味な言い方をすると)「表面処理的なデザイン」ではあります。
舞洲工場も、建築設計は日本の設計事務所が行い、外装・エントランスホール廻りの内装・外構をフンデルトヴァッサーがデザインしています。
(建物内部はもろにゴミ焼却所なので、画家の出る幕は無いのですが。)
それでもこのゴミ焼却場は、フンデルトヴァッサーの風変りなデザインによって圧倒的な存在感を出しています。

ひとつ残念なのは、このでかいチ〇ボのような煙突には見学者は入れないことです。
だれでもまず登ってみたくなりますよね。
上の丸いのが展望台のように見えるし。
けれど、中は煙突なんで形だけ(張りぼて)なのかもしれません。
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さて、普通ゴミ焼却場は嫌われ者で、大きいけれど存在感を消してほしいと思われがちですよね。
東京でも高くて目立つ煙突に雲を描いたりして、猪口才な努力をしているところもあります。
舞洲工場は、それとは全く逆の方向性です。
実は、大阪オリンピック(そういう話もあったような)の選手村をこの近くに作る計画もあったそうで、それとセットでアピールする狙いだったのかもしれません。
何をアピールするかと言えば、ゴミ焼却場のクリーンなイメージでしょうか。

そもそもフンデルトヴァッサーは、大阪以前にウィーンにもゴミ処理場をデザインしています。
最初は賛否両論あったようですが、年数が経つにつれその評価は高くなったそうです。
そして、フンデルトヴァッサーの理念に自然との共生があります。
彼の建築(バルコニーや屋上や壁面)には植栽が多く、外構の緑化にも努められています。
また、自然のモチーフを尊重しているのか、直線をあまり使いません。
ウィーンでも年数と共に緑が増え、自然とアートが共生したようなゴミ処理場となったようです。
同じことが大阪でも起こっています。
写真でも一目瞭然ですね。
発想や手法は単純で子供っぽいかもしれませんが、目に見える効果というのは説得力があると感じました。
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続く。

KS

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[2019/06/22 09:02] | 建築 1 | page top
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