
平田篤胤の「仙境異聞・勝五郎再生記聞」を読みました。
一時期とても評判になったようですね。
しかし、
文語体で読みにくいので、買ってはみたけど読破できない人もいるかも。
そんな方のためにも、ちょっと中身をご紹介しましょう!
平田篤胤は江戸時代の国学者。
幽界に関心があり、それに関する記録や資料を研究していました。
江戸の町では名前の知られた学者です。
そんな平田があるとき、幽界と人間界を行き来して修行をしてきた、という少年寅吉に出会います。
最初は、平田の弟子筋にあたる人物のところにいた寅吉と話をして驚愕します。
学問もなく、寺子屋にさえ通ったことのない15歳のその子が、あまりに博識で、しかも天狗や山人(仙人)の世界に詳しく、自分が長年研究してきたことと内容が一致するのです。
寅吉は、師匠の杉山山人にあるとき出会い、壺の中に入ることで天狗界へワープします。
そこでは神さまを敬い、神さまに仕え、人々の願いを神さまに届ける天狗や山人がたくさんいて、修行に励んでいました。
寅吉も、病気の治し方、薬の作り方、不思議な力の会得方法などなど、さまざまなことを習います。
それなので、平田本人や弟子や友人が次々質問しても、寅吉は的確に答えていきます。
噂を聴きつけて、町民も押しかけてきては彼に色々聞きますが、やはりちゃんと答えられるのです。
そればかりか、思いもよらないことまで話しだしました。
平田も知らない「女だけの国」や「犬を食べたりその皮をはいで着る人ばかりの国」に師匠といっしょに行った時の話。
師匠に伴われて、天空高く舞い上がり、地球が丸く見えたことや月世界のこと、太陽のコロナや紅焔のことまで、平田が腰を抜かすようなことまで話しだします。
それで平田は「これは記録に残さねば!!!」とばかりに詳細にイラスト入りで筆記していきます。
それが「仙境異聞」です。
それから「勝五郎再生記聞」。
こちらは寅吉とはまた別の8歳の少年で、自分が生まれる前のこと(前世)を詳細に記憶しているらしいのです。
自分は今の親の所に来る前は、どこそこ村の何々氏の息子で、幼くして病死したこと、、葬式の様子や親の嘆きもすべて知っていると言います。
また、自分が死んだ後、老人(仙人か?)に誘われて、今のお母さんのおなかに入ったことなどを話したのち、前の父親の墓参りに行きたいと両親に訴えます。
両親、祖父母も気味悪がって、最初は相手にしませんが、あまりに勝五郎が頼むので、まずはほんとかどうか確かめようということになりました。
いろいろ調べてみると、本当にそういう人物がいて、確かに幼くして病死した息子がいたということがわかりました。
その夫婦はもう亡くなっていましたが、勝五郎をそこに連れて行くと、「この子は亡くなったあの子に生き写し!」と彼を知る親戚に言われて驚愕します。
そのうえ勝五郎は、「自分がこの家にいたときは、あの屋根はなかった。」とか「あの木もなかった。」などと言うのです。
まさしくその通りで、それらはあとから作られたものでした。
平田はこの勝五郎と寅吉を実際に会わせて、「勝五郎が話しているようなことは実際にありうるのか?」と聞きます。
すると寅吉は、十分ありうることだと答えます。
というわけで、平田は、このこともせっせと書き残すことになったのです。
そのおかげで、200年後のわたしたちも「へぇー、そうなんだ!」「そんなことが江戸時代にあったのねぇ!」などと読んで感心することができるという訳です。
SS
僕は昔からなぜか古文が大の苦手なので現代語訳で読みました。
(現代語訳の中にはお勧めできないものもあるようなのでご注意ください。)
「本当かよ!」という内容ですが、嘘をついている感じも無いんですよね。
KS