
中学では音楽好きな女の子達が、シカゴという新しいグループのレコードを小脇に抱えて学校に来るのをよく見ました。
なので、シカゴっていうのは女の子達の好きそうなウォーカー・ブラザーズのような音楽かと勘違いしていました。
聴かせてもらってビックリ。
(シカゴは、初めはシカゴ・トランジット・オーソリティという当時流行りの3単語の長い名前でした。
後期にはぬるいAOR音楽になり下がりますが、初期はかなり激しくフリーキー!)
このように、なけなしのお金でレコードを買うようになると、自慢したいのか学校に持ってきます。
レコード屋の袋を小脇に抱えているのもかっこ良かったのでしょう。
学校に持ってきたってしょうがないのに、と思いますが、何とか放送室(で給食の時)や音楽室(を使ってない時)でかけられれば、と思ったのかもしれません。
ちなみに、音楽の先生はいたずらを発見すると、男女問わずその生徒の顔に油性マジックでヒゲを描いていました。
そのうちみんな背伸びをして、「輸入盤や海賊盤を買うのがいいんだ」と言い出しました。
僕も真似して買ってみました。
友達に教えてもらった新宿のヤバそうな雰囲気の専門店で、ヒッピーっぽい大学生に交じって気後れしながら買いました。
レコード店でパタパタとレコードを探すのは大人っぽい感じなのですが、知らない(不気味な)ジャケットばかりを見ていると自分だけ子供みたいで悲しくなりました。
何とか心当たりのあるミュージシャンを見つけて、買ったレコードを家で聴いてみました。
が、輸入盤はスクラッチ・ノイズだらけだし、海賊盤は雨の中のコンサートのように音が悪いでした。
(海賊盤の方は白いジャケットにガリ版印刷のような紙が雑に貼ってあるだけだったので、買う時から心配でしたが。)
なけなしのお金がパーになりました。
それ以来輸入盤も海賊盤も買っていません。
当時は高度成長期のインフレで、物価上昇に合わせてレコードの値段もどんどん上がって行きました。
(確かではありませんが、買い始めた頃は1900円ぐらいだったのが、最後の頃は2800円ぐらいだったように思います。)
子供にとってどんどん苦しくなる訳です。
経済全体の事は分かりませんが、デフレは案外いいもんです。
落ち着いて生活できます。
続くのかな。
KS