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GORDON MATTA-CLARK
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クソ暑いのが少し納まりましたが、相変わらず展覧会めぐりんをしています。
今回は東京国立近代美術館でゴードン・マッタ=クラーク展を見てきました。

多分この名前をご存知の方は少ないのでは。
彼は70年代にニューヨークを中心に活動した芸術家です。
1978年に35歳の若さで亡くなっています。

ヒッピー世代ということもあってか、自分の活動やアクション自体が作品だ、という傾向が強いようです。
アトリエでジメジメ絵を描いているのではなく、外に出て社会への問題提起を積極的におこなった方々が当時多かったのでは。
方向性は違うかもしれませんが、日本人でもハイレッド・センター、小野 洋子、草間弥生などなど。
60年代から70年代前半はぶっ飛んだ活動をした作家が多いのです。
素っ裸で街中を走るストリーキングなんてのもありましたね。(関係無いか)
漫画の「おそ松くん」でイヤミがアクション・ペインティングみたいなことをしてましたね。(少し関係ありそう)

しかし、そのような製作スタイルだと残っている作品らしい作品(現物)は少なく、展覧会では写真・映像・スケッチなどで痕跡をたどることになります。
これが案外退屈で、(説明なんかを)読んで理解するのが面倒なんですね。
(建築家の作品展も副産物を見せる感じなので、他人事ではありません。)
主催者も「残っているものだけを並べても弱いな」と感じたんじゃないでしょうか。
「プレイグラウンドのような会場」と銘打って大げさな設えになっており、(最近誰かが作ったらしい)でかい建築模型が一番目立ってました。

会場では、意図がよくわからずイマイチ(?)な顔をして見ている方もいました。
もっとも次の写真のように入場者自体あまりいませんでしたが。
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しか~し、内容をよく見てほしい。
私が注目したのは「ビルディング・カット」。
解体前の使わなくなった建物を本当に切断しているのです。
次の写真は最高!
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切断の仕方は色々試行錯誤しているようですが、なかなか効果的なものもありました。
その計画・作業(自分達でやってます)・完成を、スケッチ・映像・写真(コラージュも)・模型で見せてくれます。
この手の展示は、漠然と眺めているとおもしろさを見落としがちなので注意が必要です。
(特に映像は決定的瞬間を見逃しやすいので我慢も必要)

解体前の建物をぶった切った状態が作品なので、当然それ自体は残っていません。
(その後、建物は解体されますからね。)
おおきなインスタレーションを作る作家と同じで、無常を感じます。
マッタ=クラークの場合、一般の人に内覧させているものもありましたが、危険そうなものもありました。

次の写真は、多分展覧会のために誰かが作った説明的模型です。
(模型は見やすいように外壁がありませんが、実際はあります。)
分かりにくいですが、床などが切り抜かれて下階が素通しの状態になっています。
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この作品は実際に行ってみたらかなり面白そうですが、見ること自体危険です。
何しろ壊れかけたビルの床が切り抜かれているのですから。(次の写真参照)
製作時の映像を見ると、本人達も危なそうでした。
ジカに鑑賞してもらうことが難しいとなると、これは何のために何をしているんだ、なんてことに・・・。
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私はこのように考えます。
芸術家や発明家などクリエイティブな人間にとって「こういうことをするといったいどうなるんだろう」という興味自体が創造の源ではないでしょうか。
その時点で、目的・コンセプト・成果なんてたいして重要ではないのです。
ましてや、できたものの他人への見せ方なんかは、マッタ=クラークにとってもどうでも良い副産物だったのかもしれません。

さて、次の写真は建物を切断した四隅の部分だそうです。
やっぱり実物を見るのは迫力が違います。
やっと作家本人に会えたような気がしました。
IMG_0506.jpg
展覧会は期限が迫ってきていますが9/17(月)までやっています。
二度と見られないかもしれないレアな展覧会なので、そういう意味では見る価値はありますよ。
多分空いてるのでゆっくり見られます。
(注:ここの常設展は退屈)

KS

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[2018/09/12 08:17] | アート 1 | page top
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