
「アラバマ物語」
ハーパー・リーの原作はピューリッツァー賞を受賞し、映画はアカデミー賞3部門受賞作です。
堂々たるメジャー作品なのでここで紹介するのはちょっと、と思いましたが、日本では案外知られていないように思ったので、良いかな、と。
原作も映画も1960年代初めの作品です。
題名は知っていたのですが、日本語タイトルが読む気を削ぐし(原題のままだったらすぐに読んだかも)、グレゴリー・ペック主演の白黒映画というのもまったく観る気を削ぐし、ということでした。
なのに今頃になってなぜ原作を読んで映画を観たかというと、登場人物の「ブー・ラドリー」です。
私の好きな90年代のサイケ・バンド「BOO RADLEYS」は、この作品の(ほとんど登場しない)登場人物から名前をとったらしいことを知り、興味が湧いたのです。
映画では何とロバート・デュヴァルが演じていて、セリフ無しです。
しかし、何とも異様で味のある役柄です。
物語としては、親子の愛情、人種差別に対する挑戦などを、南部の田舎町を舞台に子供の視線から人間味たっぷりに描かれています。
それだけのストレートな話なら他にも良い作品が沢山ありそうですが、この物語は変なのです。
「ブー・ラドリー」の不気味な(少し猟奇的な)謎が要所で顔を出します。
子供達もそれに取りつかれています。
水と油のように混ざり合わない話が一緒に語られていくのです。
最後の最後で・・・「!」となるのですが、その辺り、「BOO RADLEYS」も「ブー・ラドリー」を気に入ったのではないでしょうか。
何となくわかる気がします。
KS