![]() 「DVDだったけれど『月に囚われた男』はどうだった。」 「後味悪いし、ゲログロ映画だったわ。」 「そんなことないだろ。 これから観る人に変な先入観を与えるよ。」 「エネルギーが枯渇した地球が、月にある核エネルギー資源で生き長らえている設定よね。 近未来にいかにもありえそうな状況だわ。 今の日本の状況からみると考えさせられるわね。 でも、テーマはそんなことじゃない。 主人公はその核エネルギー企業の社員で、月でたったひとりでその資源の採掘の管理をしているわ。」 「主人公サム(サム・ロックウェル)のひとり芝居のような映画だね。 ただし、独り言を言っているだけではなくて、コンピューターと話している。 そして、後半はエッと思うような奇妙な状況になっていく。」 「映画のムードは『2001年宇宙の旅』って感じだわ。 主人公が何となく変になっていきそうな雰囲気は『惑星ソラリス』や『シャイニング』かな。」 「この映画はとてもローテク、低予算で作られているそうだよ。 だからCG以前のSF映画を思い浮かべたのかもね。 人間とコンピューターとの抑揚の無い会話の連続も『2001年宇宙の旅』と似たムードだ。」 「という事は、監督のダンカン・ジョーンズってベテランなの。 宇宙基地やなんかのデザインもレトロだったし。」 「何とデヴィッド・ボウイの息子だそうな。 初監督作品らしいよ。 デヴィッド・ボウイと言えば、デビューの頃からSF好きって感じなアルバム(曲)を作っていたような気がする。 たしか『地球に落ちてきた男』っていう映画にも主演していたね。」 「知らないわ。」 「僕も観てない。 ところで映画音楽は良かったんじゃない。」 「ブライアン・イーノの音楽に抑揚が付いたような感じで、とても雰囲気を出していたわね。 イーノも好きなんでそれは良かった。 特に月面の作業シーンは模型なんだろうけれど、音楽との相乗効果でとても雰囲気があったわ。 でも映画の後味は悪かった。」 「とにかく、良くできたSF映画だね。 若干無理がありそうな奇抜なストーリーを違和感なく見せていると思った。 見る価値は十分あると思うな。」 「ところで、主人公がダメージを受けていくのは、寿命のせい、それとも放射能のせい?」 |
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