
「以前はあんまり日本映画を観なかったけれど。」
「真面目だけれど深刻で暗いか、馬鹿ふざけかのどっちか、ていうイメージがあったわね。」
「ここ十年ぐらいかな、新しい観点の映画がでてきて案外面白いね。
『インスタント沼』も楽しめたよ。」
「えーーーーーー。
私はこれはダメだな。
内容が無さすぎだと思うけど。」
「ゲラゲラ笑って観てたじゃん。
ジリ貧のOLが、あれこれするんだけれどうまくいかなくて、もがきまくる話だよね。
何となく親近感を感じたんだけどな。
主人公の置かれた状況や映画の筋なんかじゃなくて、ディテールの積み重ねに自分と近い何かを。」
「色々なエピソードが出てくるけれど、特に関連性は無いし、最後に全てが結びついていく、なんてことも無かったし。
思いつきで作ってるんじゃないの。」
「分かった。
監督の発想の仕方が何となく近いのかも。」
「また人の話を聞いてないわね。
ところで、こういった日本映画、何となくスケールが小さいんじゃない。」
「そうとも言えるかもね。
設定が身近で、登場人物は普通なようで妙にディフォルメされていて、何も起こらないようで変なことが起こって、ていう感じ。
でも悪くないよ。」
「話のリズムは良かったわね。
前半の話は無くても良かったかも。」
「僕は前半も面白かったな。
またこんな映画を探してくるよ。」
「えーーーーーー。」