![]() 前々回ご紹介したMO邸ですが、実はこのリビングの吹抜は、もとは子供部屋だったのです。お子さんたちが独立して、夫婦2人の生活になったため、不要になった子供部屋をひとつなくして吹抜にしたのです。外観は変わりませんが、床面積が減ったので、「減築」の一種といえるのではないでしょうか。 もとの子供部屋の窓がリビングのハイサイドライトになったため、明るく光溢れるLDKが誕生しました。もとの部屋と比べると、信じられないほどの明るさです。 キッチンも、もとは「昔の台所」風で、北側で寒く、手の届かないほど高い位置に吊戸棚があって使いにくそうでした。 今回は対面キッチンにし、横に多目的カウンターを造り、床暖房も入れて暖かくしました。 竣工の日、生まれ変わった我が家を見て、奥さんが涙を流して喜んでくださいました。 これぞまさしく、デザイナーズ・リフォームの醍醐味です。 SS |
![]() TOTOで主催する「リモデルスマイル作品コンテスト2009」という住宅リフォームのコンテストがあります。 これは、完成したリフォームの出来栄えを競うものです。 MO邸という住宅の改修作品を出したのですが、おかげさまで優秀賞に入ることができました。 実は、ガイア・アソシエイツでは、2007年から出しているのですが、3年連続優秀賞をいただいています。 それ自体、嬉しいことなのですが、完成した作品のコンテストというのは、出展するには、とても難しい面があります。 そもそも建築というのは、敷地条件、法的条件、予算、建築主の要望等、クリアしなければならないことがたくさんあります。 なかなか理想通りにはいかないのが普通ですが、改修の場合はその上に、元の建築を基本に考えなければならないという制約があるのです。それもこれも乗り越えて、初めて「驚きのリフォーム」が実現するのです。 住んでいる方は、元がこうなっているからしかたない、と思いがちですが、それをそうと感じさせないような最終形にすることこそ、デザイナーズ・リフォームの醍醐味なのです。 「まさか、我が家がこんなふうになるなんて想像もつかなかった!」とか、「これがほんとに、あの暗くて寒かったうちなの?!」と竣工時に歓声をあげる建築主が多いのも、また、このデザイナーズ・リフォームの大きな特徴です。 SS |
![]() ![]() 「リモデルスマイル作品コンテスト2009」で優秀賞のMO邸です。 MO邸は今まで何回かご紹介しましたが、せっかく受賞したのでこれから暫くは、改修前改修後を見比べながら順を追って解説しようと思います。 この家はご覧の通り、一戸建ての木造2階建て住宅です。 外装と内装の全面リフォームです。 子供も巣立った後のご夫婦2人のためのリフォームでした。 家としては十分に広いのですが、家族の人数が多く小間仕切になっていました。 どの部屋にいても手狭なので、2人で広々と暮らしたい、というのがご希望でした。 また、南側の土地が1階分ぐらい高くなっているので、1階にいると暗いのも問題でした。 改修内容は、プラン変更と減築、断熱・防火・構造等の性能アップ、老朽化部分の補修、水廻りの刷新、バリアフリー、デザインの一新等、多岐に渡りました。 戸建て住宅の改修の多くの要素が含まれているので、ご参考になる部分も多いと思います。 まずは、外観です。 写真上が改修前、下が改修後です。 ●外壁は木製で、数年に一度は塗装をしており、維持管理費用もかかっていました。 そこで、防火性能も高くメンテナンスの必要も少ないタイプのサイディングとし、通気層工法 にして性能アップを図りました。 ●断熱がなされていない家だったので、壁内・天井裏・床下には断熱材をいれました。 ●2階の屋根瓦は調査の結果、暫く使えるようなので、ゆがみなどを直すのみにしました。 1階の屋根は金属屋根でかなり錆びていたので、葺き替えました。 ●その他、バルコニー、樋、軒裏なども直したり交換しています。 ●玄関扉、窓はペアガラスのアルミサッシに入れ替え、不要な雨戸は撤去したので外観が すっきりしました。 必要に応じて、雨戸の代わりに扱いの楽なシャッターを設置しています。 ●デザインは白とクリーム色のコンビネーションにして、明るく軽快な雰囲気にしました。 外観の色彩がインテリアにも同様に展開するように計画されています。 リフォームのポイント ・予算が限られている場合、無理をして全てを改修しようとしない。(優先順位を明確にする) ・改修を先延ばしにする部分は、改修部分と取り合いの無い部分にする。(屋根のように独立して改修できる部分) 次回からは内観です。 KS |
![]() ![]() MO邸改修の今回は玄関です。 写真は今回も上が改修前、下が改修後です。 ●まず玄関扉ですが、開き戸を引戸に変更しています。 引戸には網戸が組み込まれていて、夏などに風を通すととても快適です。 風の道を考慮することはとても重要です。 ただし、引戸は開き戸に比べて気密性が低いので、雨の吹き込みなどに留意する必要が あります。 玄関ポーチの庇の出を十分にとりましょう。 ●玄関の幅を半間広くしました。(下の写真のフローリングの色を変えている部分) 小さなスツールを置くと、ちょっとした会話が出来る空間になります。 居間が散らかっていてお客さんに上げられない無い時でも、玄関が充実しているとコミュニ ケーションの場になります。 ●玄関でも天井を高く! 広さが限られていても天井を高くするだけで、空間が豊かなものになります。 今回は、極力天井を上げられる部分を高くしています。(下の写真の黄色い部分) 玄関は住宅の中でも陽の当らない部分(北側など)に作られることが多く、暗くなりがちです。 では、この家の玄関は北東にあるのに何故明るいのか? 次回は玄関見返しの写真でその工夫を説明します。 KS |