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都市デザインとまちづくり
都市デザインとまちづくり
「都市デザインとまちづくり」というDVDがあります。
サブタイトルは「街の魅力を創る横浜の実践」という事で、「独自の体制で取り組み、実践してきた横浜市のアーバン・デザインの軌跡と今後」に関する記録です。

「1960年代から始まった横浜都市計画。
横浜市都市整備局都市デザイン室を中心に行われたさまざまな先進的な都市づくりの実践を、貴重な歴史的資料と記録映像、開発当初から携わった田村明氏をはじめ、関係者へのインタビューなどを交えて紹介。
市民と自治体の協働による都市計画、調整とは何かを考える。」
・・・とクソ堅苦しい説明が付いていますが、DVD自体は誰にでも分かる興味深い内容でした。

このDVDは2011年発売ですが、以前見ていまいち内容が分かりにくかった展覧会「都市デザイン横浜展」を補完する映像と言えるかもしれません。
と言うか、DVDを見れば全てが分かってしまいます。

これを見てまず思った事は、「横浜の魅力的な街並は自然に形成された訳ではないのだな~」という事でしょう。
市の都市デザイン室が、早いうちに先見性と洞察力のある方針を打ち出して行動に出ていなければ、国や心無い業者によって横浜は日本の外の都市のように小汚い退屈で無個性な街になっていた可能性が高かったという事です。

そしてその中でも特筆すべきは、古い建築などの保存の方法です。
新しく作ったものはやり直しがききますが、古い建造物を一度解体したら二度と元には戻りません。
横浜市では、単に腫れ物に触るようにただただ保存するのではなく、現役として活用できるようにしているのです。
それであれば市民や企業の理解も得やすいし、保存されたものも街並みに貢献して生き続けます。
古い建造物を移築したり手を加えたりもしていますが、共存していく為なら限度はありますが問題ないでしょう。

都市計画というのは他人事ではなく身近な問題であり、住民各々が高い意識で参加していかなければ街並は良くなりません。
横浜は日本ではかなり頑張ってきた方だと思いますが、それでもヨーロッパの都市に比べると足元にも及ばない事も事実でしょう。
これからも継続的な努力が必要なのです。

機会があればこのDVDを多くの方々に見ていただきたいと思います。
けれど、このDVDを手に取って購入する一般の方は稀だと思うので、NHK等で是非とも放映してほしいものです。

KS

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[2022/10/17 08:09] | 建築 2 | page top
KAIKA
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浅草のKAIKA東京という所に行ってみました。
ここは何かというと、ホテルです。
でも泊りに行ったのではなく、美術作品も展示しているという事だったので、どんな感じか見に行ったのです。

KAIKAのサイトには・・・
「アートストレージとホテルが融合した、コンテンポラリーアートの拠点です。
館内には、複数のアートギャラリーが作品を公開保管する収蔵庫をはじめ、様々なアート作品が収蔵されています。
通常は決して覗き見ることができないアートの現場で、作品との特別な出会いをお楽しみください。」
とありました。

実はなかなか場所(浅草の場末)が分かりませんでした。
というか、古い事務所ビルか何かを改修した超地味な外観なので、近くまで行っても気がつかなかったのです。
エントランス廻りはモダンにしているのですが、色を塗り替えるならよりによってベージュにしなくてもね~。
(昔、アップル・コンピューターのコマーシャルでも「ベージュが好きな人なんていませんよね。」なんて言ってたでしょう。)
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さて、エントランスから中に入るとホテルにしてはかなり変わった風情。
中央に美術作品展示スペースがあるのですが・・・金網越し。
金網を使う展示は時々見かける手法で気持ちは分かるのですが、僕は作品が見にくいから良いとは思いません。(次の写真右手)
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それとは別に企画展示用のスペースもありましたが、あまりに狭く作品数が少ないでした。
個展をわざわざ観に行くと肩透かしだし、その画家が知り合いを呼ぶにしてもこれでは・・・。
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1階はホテルのフロントとコーヒーハウスもあります。
コーヒーハウスは宿泊客以外でも利用でき、美術作品に囲まれたスタイリッシュな雰囲気が楽しめます。(次の写真の金網の奥)
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が、コーヒーはお代わりもできないのに結構値段が高いでした。
それなのに名前を呼ばれたら自分で取りに行く、という昔の病院みたいなスタイル。

このホテル、他の階にも仕掛けはあるようでしたが、見せてもらう事はできませんでした。
客商売の割にサービス精神が足りないような。

総じて「ホテルと美術を結び付けて何かやってやろう」という雰囲気は出ていましたが、何となくちぐはぐな感じも見て取れました。
不足しているのは、相手の立場に立ったアメニティーなのかもしれませんね。
それと、スタッフがもう少し来客に対して美術的な働きかけ(簡単な見どころの説明など)をした方が良いのではないかと思いました。

KS

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[2022/12/29 08:09] | 建築 2 | page top
深川江戸資料館
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清澄白河にある江東区深川江戸資料館に行ってきました。

ここには以前から行ってみたいと思っていました。
何があるのかというと、江戸時代末期の深川佐賀町を再現した実物大の街並です。
イラストの通りのものがあります。
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以前行った中川船番所資料館ではズッコケましたが、今回のものはなかなかです。
中川船番所資料館と同じく室内に当時の建物を再現しているのですが、こちらは街並として所狭しと建物が建っています。
これが見たかったのですね。
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展示会場は地下1階からの吹抜で、室内なので温度・明るさ・音等を自由に設定できるメリットがあります。
行った時は夕暮れ時(照明や効果音)のような感じで、良い雰囲気でした。
わざとらしいと言えるかもしれませんが、暑くも寒くもなく雨も降らないので助かりますね。
また、周りのビルが見えたり、車の騒音が聞こえたりしないのも(消極的な意味ですが)良い点です。

本来は屋外に再現されていると良いと思いますが、現在の日本の薄っぺらで小汚い街中の一角にあってもぜんぜんダメなので、室内なのも仕方ないでしょう。
いずれにしても昔の街並の方が良かった、というのは悲しい話です。
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さて、江戸(東京)では城や大名屋敷のような為政者の建物よりもやはり庶民の建物でしょう。
各々の家の造りも興味深いのですが、体感して欲しいのは家と家との狭間の路地です。
何度も通ってみたくなるような趣のある横丁になっていました。
家の中を通して向こう側の外の景色が見えたりするのも、重層感があって新しい発見でした。
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そして江戸と言えば水路なのですが、それもちゃんと再現されていて船宿もありました。
川縁には川越にあるような火の見櫓も再現されています。
それを見上げると、会場は結構天井高のある空間なんだな、と分かります。
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このようにそれ程広い街並では無いのですが、路地をくねくね歩き回って楽しめます。
できる事なら各々の建物内に入れるようになっていたら良かったのですが。
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ここは外国からの観光客も喜びそうな(隠れ家)施設だと思います。
街並は常設されていて入場料も安いので、是非行ってみてください。

KS

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[2023/01/14 15:09] | 建築 2 | page top
旧岩崎邸庭園
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上野広小路近くにある旧岩崎邸庭園に行ってきました。
庭園と言いますが、見どころは建物自体でしょう。

ここは言わずと知れた、岩崎彌太郎が建てた明治初期の豪邸です。
NHKの「龍馬伝」でにも出てきましたね、覚えていますか?
香川照之扮する岩崎彌太郎が、晩年この屋敷のバルコニーをゆっくりゆっくり歩いていました。

設計者はジョサイア・コンドル。
明治29年に竣工しています。

中は薄暗いですが、天井が高くインテリアの意匠も凝っています。
今では手に入らない銘木も多く使われているそうで、もちろん重要文化財です。
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この回廊は、光が入り庭を一望出来ていい感じです。
彌太郎もここを歩きながら眺めを楽しんだことでしょう。
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2階に上がる階段です。
重厚で立派な作りなのですが、残念なことに、手摺にビニールのカバーがかけられていました。
傷むから?汚れるから?
がっかりな眺めでした。
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広いバルコニー。
手摺の意匠も凝っています。
高さが今の建築基準法よりも低く設定されているので、眺めを存分に楽しめます。
いいなぁ、このぐらいの高さ。
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遠景で見るとこんな風。
広い庭と大きなお屋敷ではあるのですが、「日本としては」という頭書きが付きそうです。
それというのも、都会の中になるので、周りの集合住宅やら学校やらがどうしても目に入り、アメリカなどにあるお金持ちさんの豪邸とはシチュエーションが異なります。
おそらく当時日本一のお金持ちだった(?!)彌太郎の御屋敷でもこんな風なのであります。
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これも同じ敷地内にあり、洋館とはちょっと異なる異様な雰囲気なのですが、設計者は同じくジョサイア・コンドルです。
撞球室といい、ビリヤードをするための別館だったそうです。
公開していませんが、母屋と地下道で繋がっています。
(こういう所こそ見せて欲しいものですね。)
校倉造だそうですが、アメリカの木造ゴシックの流れを汲んでいるとかで、北海道開拓の村にでもありそうです。
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SS

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[2023/03/29 08:04] | 建築 2 | page top
「」
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天王洲アイルに久しぶりに行ったら、寺田倉庫関係の施設が改修・増殖して、エリアとして整備されていました。
元倉庫が集まっていた辺りです。

倉庫群がイベント会場、ギャラリー、店舗、レストラン、カフェなどに生まれ変わり、街のように形作られています。
「文化をあなたと創る」のだそうな。
位置的にクサいので有名な目黒川河口近くではありますが、どういう訳かこの辺りでは臭いは気にならず、運河の水辺が一見気持ち良く過ごせそうな空間になっていました。
(水はやっぱりばっちいんでしょうけどね、剣呑、剣呑。)
そこに架かっている天王洲ふれあい橋は名前が悪いですが、デザインはいいですね。
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天王州アイル第三水辺広場もゆっくり過ごせる広々とした水辺の空間です。
人も少なくのんびりできるのではないでしょうか。
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アーティスティックな台船が係留されています。
水上アートホテルだそうです。
ペイントがフンデルトヴァッサーっぽいけどね。
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寺田倉庫関係の建物には「」のマークが付いていて、外壁全体はチャコールグレーに塗られています。
これは色々な形状の建物に統一感を出す上手い作戦だと思いました。
以前見た時は「何だかファシズムっぽい」と思いましたが、街として賑わってそれなりにゴチャゴチャしてくると、建物自体はこれぐらいストイックでも良いと思い直しました。
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寺田倉庫施設群はアートをキーワードにセンス良く面白い街づくりをしていると感じました。
古い建物の再利用が多いですがきっちりと計画されているので、今後もう少しルーズにして息苦しくならないように工夫していく事も大切だと思います。
平日だったせいか、客が多いのは一部の人気レストランだけでしたが、皆さん食うだけじゃなくもっと「文化」に目を向けて欲しいものです。

KS

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[2023/05/03 11:52] | 建築 2 | page top
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