前回、目黒雅叙園のことを少し書いたので、もうちょっと。
目黒雅叙園は、日本で最初に生まれた総合結婚式場ということらしいですが、結婚式以外ではあまり馴染みがないかもしれません。 実は、私も名前や外観は知っていたのですが、実際に行ってみたのは数年前が初めてです。 結婚式でもないのに何故行ってみたかと言うと、前回書いた百段階段見学ツァーなるものに参加したのです。 「千と千尋の神隠し」の背景(建築)には映画を観た時からとても興味があり、その元ネタだということで、一度現物を見ておきたかったのです。 奇妙な和風建築には、何となく惹かれるものがあります。 実際に行ってみて、一言で言えば「びっくり」しました。 古くからある百段階段も、前回書いた通りなかなか凄いのですが、新しい建物の内部もびっくりです。 店内は、百段階段の異様な雰囲気を引き継いだキッチュな和風サイケデリアです。(勿論、褒め言葉です。) 店内全景は、サイトや実際に行ってご覧いただくとして、トイレを紹介いたしましょう。 何故トイレかというと、トイレは商業建築をチェックする上で案外重要なのです。 お客さんをもてなす気持ちの程度が分かります。 ![]() 上の写真はトイレ内の手洗のコーナーで、下の写真は大便器のブース入口です。 立派な扉から入ると、3畳ぐらいありそうな大便用個室になっています。 ![]() そしてトイレの天井が下の写真です。 これはトイレ内の通路部分ですから、どれだけ広いか分かると思います。 そしてこのデザイン、トイレだけでも入ってみる価値があります。 ![]() 休日に行ってみて感じたのですが、結婚式に出席している人というよりも、普段着でレストランや喫茶に来られている人が目立ちました。 結論として、この異空間を日常的に楽しまない手は無い、と思いました。 気楽に気分転換に行ってみても良い感じです。 KS |
![]() 春先から北品川で、ガイア・アソシエイツで設計した住宅の工事監理をしています。 工事監理とは、建物が図面通り施工されているかチェックしたり、施工上の問題点・未決定事項などを建設会社の現場監督と打ち合わせたりすることです。 現場は品川駅が近いと思っていたのですが、大崎駅にも近いことがわかりました。 品川駅前はゴミゴミしているので、最近はもっぱら大崎駅から現場にいっています。 大崎駅前からゲートシティプラザを抜けていくと近いことに気がつき、昼食や喫茶にもよく利用するようになりました。 大きな室内の吹抜広場があって気持ちが良いのです。 レストランも、インド、タイ、韓国など私の好みの料理屋があります。 長く通っていると、いろんな発見がありますね。 このようなことでも無ければ、行くことも無いかもしれない場所に詳しくなったりすることも、設計の面白さです。 何でこんなことをだらだら書いているかというと、ゲートシティプラザの便所のことをお知らせしたかったのです。 男子便所の小便器の話なので、女性には直接関係ありません。 小便器というと、単に並んでいるだけで、隣との隔て(目隠し)は無いことが多いですよね。 ここの便所は、写真のようにしっかりとした厚みのあるコーナーになっていて、小便をしているととても落ち着きました。 隔てがあるケースは他でもあるのですが、形ばかりの小さなものが多く、寸法がちょうど良いことがあまり無いのです。 (写真の黒い格子は飾りなので無くても問題無いと思いますが、隣に対しての心理的な区分になっています。) 隔てはタイルで仕上てあり、幅も太いので見た目にもリッチな感じがしました。 以前、目黒雅叙園の不気味なほど豪華な便所をご紹介しましたが、何気ないこんな便所でも小さな工夫でとても快適になるのですね。 蛇足ですが、女性の設計者がデザインした男子便所はイマイチだ、と感じることが時々あります。 魅力の無い小便器を選んだり、小便器廻りのデザインが特に・・・。 当たり前なのですが、使わないしあまり見たことが無いからよく分からない、ということなのですね。 KS |
![]() つくば市の近郊に土地利用の現地調査に行ってきました。 つくばエクスプレスができたのでとても便利で快適です。 東京から近くなったものです。 現地は、基本的には学園都市が出来た頃に戸建て住宅用に開発された団地だと思います。 分譲地の6-7割方に住宅が建っていました。 住まわれている皆さんの多くは、筑波大学を中心とする学園都市や周囲の研究所などにお勤めの人ではないでしょうか。 つくばエクスプレスが出来て、駅周辺もそれなりに開発されてきています。 けれども、開発地域から外を見渡せば、写真のような田園風景が広がっていました。 一瞬、イイナと思いましたが、ある意味この辺りはスプロール現象の最前線なのかもしれません。 実は、私は小さい頃、林や田畑が無秩序な宅地に変わっていくのを見るのがとてもいやでした。 今で言う里山的なものが好きだったのかもしれませんが、とても重要なものが失われているように感じたのです。 この写真も、むこうからこちらを見れば、住宅がひたひたと増えてくる私の嫌いな風景なのです。 日本の人口も減少に転じた昨今、これ以上写真のような風景を減らして欲しくない、と久しぶりに思いました。 私自身、建築設計の仕事をしていますが、こういった開発的な仕事はやらないように気をつけています。 また、巷では不要になった宅地などを自然に戻す仕事などもうまれているようです。 とても重要なことですが、それに自らお金を払おうという人がどれだけいるかも考えなければなりません。 一度人工的に作ったものを元に戻すのは大変なのです。 KS |