![]() 今回からガイア・アソシエイツで設計した建築をご紹介します。 (遊んでいた訳ではないのですが、久方ぶりですね。) ご紹介するのは都市型の一戸建て住宅の改修(N4)です。 鉄筋コンクリート住宅の、ほぼ躯体以外を解体して改修しています。 (巷ではこういう場合「スケルトンに戻して」などと言っていますが、何かイヤな言葉ですね。) ![]() ご紹介する家は、地下1階地上4階建で、延床面積で240坪程度あります。 専用住宅ですが、大きなピアノ室や宿泊できる客間も数室あるので、ゲストハウス的な意味合いもあるかもしれません。 庭やルーフ・ガーデンもありますが、都心に近いため、住宅地としては近隣は建て込んでおり、外に開放させるか内に閉じるかは微妙な立地と言えます。 今回は改修だったので、そのあたりは大きく変更はしていません。 次回から室内を中心にご紹介します。 KS |
![]() ガイア・アソシエイツで設計した住宅の改修(N4)の続きです。 まずは玄関から入ってみましょう。 外壁の白黒ストライプのタイルが玄関ホールに入り込み、建築としての内外の一体感を出しています。 ・・・と、これは一般的によくある手法です。 なのですが、玄関突き当りの階段から各階ホール(地下1階~3階)も、すべてこのタイルで徹底的に展開しています。 徹底している、と言えば、細かい事ですがタイル目地。 壁タイルは白と黒の2丁掛(細長いタイル)をストライプ状に貼っています。 その際、目地をどちらのタイルの色に合わせるかで悩むところだと思います。 (結局、どちらとも関係ない灰色にするのが一般的な解決策かもしれません。) 今回は、基本は白目地ですが、黒タイルと黒タイルが隣り合わせになる部分は黒目地にしてもらいました。 そうすることで、黒いストライプがぶつ切りにならないで連続します。 (写真をご覧になるとその効果はよく分かると思います。) 作業は気が遠くなる程大変ですが、手間をかけると良くなる見本ですね。 (職人さんはなんだか画家のように時々全体を見ながら作業していました。) タイル目地の色って案外侮れません。 ![]() 玄関から見返すと、車庫外壁まで同じストライプが続いている様子が分かります。 このようにすると、一体感だけではなく、連続感や広がりも感じますね。 ![]() 今回の計画は、全てにおいて全てが徹底されているのです。 続く。 KS |
![]() ガイア・アソシエイツで設計した住宅の改修(N4)の続きです。 今回は玄関脇にあるピアノ室です。 ここは、改修前もピアノ室だったようです。 改修後は、ピアノ室でもありますが、本格的なAV、バーも備えています。 最初の写真は上階のギャラリーから全景を見おろしたところです。 次の写真は玄関ホールの扉から入ったところです。 ピアノ室は実は地下1階で、上階の(1階)ギャラリーがまるで天井桟敷のようになっています。 ギャラリーには大きな窓があり、玄関脇の庭が借景です。(写真右上) 手摺は既存のものを再利用しましたが、全て茶色かったものを白黒に塗ってみました。 外壁の白黒タイルが変容して続いているイメージです。 ![]() 設備的にはほぼ全ての居室にガス床暖房を完備しています。 この部屋のように吹抜や天井が高い場合は天井扇を設け、空気をサーキュレートさせています。 夏は天井のエアコンを使用しますが、冷気は下がってくるので天井が高くても問題はありません。 また、エアコンのフィルター部分は、清掃時には電動で下までさがってきます。 ピアノ室の仕上は、床はフローリング、壁は大理石、吹抜部分の壁と天井は吸音性のある特殊な布張りです。 これらによって、部屋がライブになるかデッドになるかをバランスしています。 次の写真はピアノ室の一角にあるバーです。 元は倉庫のようなスペースでしたが、ピアノ室とつなげました。 厨房機器も完璧に完備されていますので、バーと言えども侮れません。 写真では分かりにくいですが、右奥には坪庭(サンクン・ガーデン)があります。 地下なのにホッと気分転換できるスペースです。 ![]() 続く。 KS |
ガイア・アソシエイツで設計した住宅の改修(N4)の続きです。
今回は来客用の部屋です。 最近の住宅では、客間という物自体が少なくなってきています。 ただでさえ狭い日本の家で、死に部屋になりがちな客間などは作らず、その分LDKなどを広くしよう、ということでしょうか。 が、今回の住宅は、ゲストハウス的な意味合いもあるので、所謂応接間が1部屋、来客が泊まれるような客間が2部屋あります。 まずは応接間から。 次の写真の通りですが、プラン的には玄関脇にあり、オーソドックスな配置と言えます。 左の大きな窓からはサンクン・ガーデンが望めます。 サンクン・ガーデンは下階(地下1階)の客間の前庭ともなっています。 ![]() 客間は1階と地下1階にあり、次の写真は1階の方の部屋です。 こちらは和室になっていて、宿泊する場合、人数等の融通が利くようにしています。 窓は3ヶ所あり、外に借景として小さな和風庭園を見ることができます。 壁紙はこの部屋の為の特注です。(天井高に合わせて模様がグラデーションになっています。) 客間には専用のバス・トイレが付いていて、地下1階の部屋にはキッチンもあります。 ![]() 続く。 KS |
![]() ガイア・アソシエイツで設計した住宅の改修(N4)の続きです。 今回は2階のLD(居間・食堂)です。 既存もここはLDだったのですが、天井高に低い所があったので、一番高い所に合わせて統一しました。 居間ゾーンは大きなソファーのセットが2組余裕で置けます。 所謂応接セット的な組み合わせにはせず、カジュアルで自由な配置にしました。 椅子やクッションの張地の色も選びに選んでいます。 また、2つのソファーをひとつに合わせることもできます。 ![]() この家にはダイニングは2つあり、居間の続きのこちらはどちらかというとフォーマルな客用も想定しています。 普段は居間の続きなのでお茶を飲んだり、という感じでカジュアルにも使われているのではないでしょうか。 (物を出しっぱなしにしても良い気楽なダイニングは壁を挟んで隣室にあります。) ダイニング・テーブルは特注ですが、家具屋さんが木場で自然な風合いの無垢材を探してきました。 脚は、甲板がとても重いのでスチール製です。 テーブル上の照明は受注生産の輸入品ですが、色や組み合わせ、配置は検討に検討を重ねています。 ![]() ところで、この家の空調に関して・・・。 元々はダクト式の天井裏隠蔽型のエアコンでした。 竣工当時はそれが一番高級で見栄えも良い、とされていたと思います。 本体は天井裏にあるので見えず、吸込口と吹出口だけが見えるタイプです。 高いグレードの建築では勿論、高級住宅や高級マンションでも採用されていた方式です。 私もそういう所に暫く住んでいたことがありますが、住宅としては、空調の立ち上がりがイマイチで、音がとてもうるさく、フィルターの掃除もしにくいでした。 また、エアコンの大修理や交換時に天井を壊さなければなりません。 今回の住宅もそうでしたが、天井裏の本体やダクトの為に天井が低くなるケースもあります。 ということで、改修は天井カセット形エアコンとしました。 写真のように本体は見えますが、天井埋込なのでそれ程気にはならないでしょう。 音も静かで、メンテナンスや交換も簡単、ダクトもありません。 長所短所を考えれば住宅ならこれ、ということになりました。 バブル期に出来たいわゆる億ションで、ダクト式の空調の改修時期になっているところがありますが、相変わらず同じ方式のままで改修しているところもあるようです。 「このランクの家ならこのレベルのエアコンじゃなきゃ」という硬直した発想なのでしょうか。 ハッキリ言っておバカですね。 見栄えだけでなく、使う人の事も考えませう。 続く。 KS |