今回からガイア・アソシエイツで設計した住宅MY邸を紹介します。
MY邸は郊外にある大きな集合住宅の1住戸です。 とっかかりは、内装の仕上材を変えて床暖房を入れようか、という話でした。 しかし、建築主と話しているうちに、仕上や空調だけを変えるだけではご希望のアメニティーの向上が十分では無いと感じました。 この改修の要点は、家族の集える広々としたLDKではないかと思ったのです。 仕上や空調はその一部で、間取りを合理化して大きくとらえるプラン変更の必要性を感じました。 順を追って説明したいと思います。 これから各部屋の改修をお見せしていきますが、基本デザインは床から天井まで全部まっ白です。 住宅のインテリアの流れのひとつに、ミニマルなこのようなデザインがあります。 しかし、住まう人が本当にそのような空間に住む適正があるかどうかが重要です。 白くない住宅に比べ、汚れやゴミが目立つので、掃除が大変です。 (まっ白を維持しようとする場合ですが・・・。) また、ずうっとそこに暮らすことをイメージして、自分が白い空間に精神的にマッチするかどうかも考えてみる必要があります。 遊びに行って、ワーかっこいい、というのと住むのとでは、ちょいと(心構えが)違うのです。 その点、今回の建築主はこのような空間に暮らすのにぴったりという方でした。 打ち合わせの時も白い服に白いマニュキア、プロ並みのお掃除好き・・・。 持ち物も家具も最小限に抑えているので、それこそミニマル。 その上、今回の改修に合わせて、大量の不用品を処分されました。 準備は万全です。 それでは、改修前後の写真を使ってMY邸をご案内いたします。 いつもはメインの空間からお見せするのですが、今回は間取りの順に、玄関から。 下の写真は既存(改修前)の玄関です。 元のデザインは、住戸を購入した時のままで、基本的に白とこげ茶のコンビネーションでした。 ![]() 次は改修後。 改修前と同じアングルです。 玄関扉以外は全てまっ白。 (二つに見えるのは鏡のせい。) 床の上がり框もやめて、まっ平らにしました。 床は白い300角タイルです。 ![]() 次の写真は、玄関の見返しです。 下駄箱は元のものを白く改修しました。 中を開けると元のままです。 奥に見える半透明のスクリーンの先にLDKがあります。 引戸なので、開けっ放しでも良いですね。 マンションにありがちな暗い玄関も、日光を間接的に入れることで明るくなります。 玄関の照明は人感センサー付にしました。 ![]() 続く。 KS |
新年早々風邪をこじらせ、ひどいめにあいました。
数日寝込んでいましたが、そんなある夜中、眠れないので本を読んでいました。 部屋が暗いのに本が読めるのは変だな、と思ってスタンドに手を伸ばそうとして気が付きました。 夢だったのです。 私が夢を覚えていることはあまり無く、面白い夢だったので人に話そうと思っても、目が覚めるまでの一瞬で忘れてしまいます。 けれど今回の「私がベッドに寝た状態からの視界そのままの」夢にはびっくりしました。 目が覚めると、あるはずの本が魔法のように消え去ったのですから。 ただし、本の大きさが実際よりかなり大きかったような・・・。 さて、今回はガイア・アソシエイツで設計した住宅MY邸の続きです。 廊下です。 個室がいくつかある場合、プランを工夫しないとどうしても廊下ができます。 特に集合住宅の場合、このような玄関から続く暗い廊下になっていることが多いです。 下の写真は改修前です。 ![]() 今回の改修ではプラン上どうしても廊下は無くせなかったので、ここもまっ白にしました。 照明は変えていないのに、扉と床を白くし、壁紙を既存より少し白くしただけで、次の写真のように明るくなりました。 ![]() 改修前後の印象の違いはハッタリではありません。 実際に行くと、写真以上の違いを感じました。 扉を白くして壁に同化したので、廊下の奥行き感も強調され、奥に行ってみたくなる廊下になりました。 壁・天井が白い空間というのは別に特別ではありませんが、床を白くすると様相が全く違ってきます。 続く。 KS |
ガイア・アソシエイツで設計した住宅MY邸の続きです。
今回からは改修のメイン・エリアであるLDKです。 下は改修前の写真です。 改修前は、写真手前のLD、写真奥に見える個室(よくマンションにあるLD横にある和室を洋間に改修したもの)、そしてキッチンに分かれていました。 個室部分は何となく使い勝手として中途半端のようですし、キッチンは窓も無く閉鎖的な部屋でした。 LDは、玄関との間に納戸があり、玄関からスッと入る感じではありませんでした。 ![]() 次の写真は改修後です。 玄関を入り、LDKとの間の半透明の引戸を開けた時に見える風景です。 既存のLD、個室、キッチンとの間にある間仕切を全てやめてしまいました。 LDと玄関との間にあった納戸も無くしました。 写真手前右にはキッチンと対面したカウンターがあります。(改めて説明します。) 奥は全てLDエリアです。 右側の壁は壁面収納とし、収納エリアを集約しました。 ![]() 次はLDに入っていった写真です。 今までは2つの部屋に3つの窓だったのが、1つの部屋に3つの窓となったので、視界も開け、明るくなりました。 勿論、風の道も十分に確保できます。 LDKの面積は、収納を含めてですが約35畳になりました。 内装は玄関、廊下と同じでまっ白です。 床がタイルなので、いわゆる住宅とは違う雰囲気になっています。 白いインテリアにする場合でも、床はなかなか白くしないことが多いですが、やってみれば独特な浮遊感が生まれます。 白にする場合でも、建材は色々あります。 今回のようなタイル、フローリング、塩ビ系シート、天然リノリウムなど。 候補の中から、質感があり、メンテナンスがしやすく、最も白かったタイルを選びました。 タイルは冬冷たいと思われるかもしれませんが、ガス床暖房を入れたので問題ありません。 とても快適だそうです。 床暖房用にタイルは専用の工法で貼っています。 ![]() さて、天井を見てください。 部屋全体に白い球形の照明が浮かんでいます。 床と相まって浮遊感が強調されています。 今回、部屋が広くなり、家具のレイアウトも一通りでは無いと思われるので、天井にライティング・ダクトを設置し、好きな所に照明器具を付けられるようにしました。 LDKは全てガラスの球体のコードペンダント照明(天井からコードでぶら下がった照明)ですが、位置を移動できます。 個数を変えたり、照明器具を変更することも簡単なので良い方法ではないかと思っています。 ランプは一部を除きLEDの電球色を使用しています。 天井扇は元からありましたが、空調効率を上げられるので、位置を移動して再使用しました。 続く。 KS |
ガイア・アソシエイツで設計した住宅MY邸の続きです。
今回はLDKのLD部分です。 ほんとにすっきりしていますね。 バルコニーのグリーンもとてもきれいに見えます。 ここの階からは、外のグリーンもよく見えるので、近景と遠景の緑が重なり合って奥行き感があります。 壁面一面にとられた収納。(写真右側) そうです。扉を閉じていると、まったく存在感がありません。 白い壁のようです。 ![]() 扉を開けてみましょう。 上から下までぎっしり物が入るようになっています。 棚は可動式で、一センチ刻みに、好きな高さに設定できます。 それというのも、この収納がリビングとキッチン、ダイニングの3つのエリアをカバーする役目を持っているからです。 食品庫、食器棚、雑貨入れ、日用品入れなど、何を収納するのにも対応できるように考えられています。 「あともうちょっとなのに、これが入らない!」 というストレスを極力減らそうとこんなふうに設計しました。 全部開けると、どこに何が入っているか一目でわかるのも、使いやすいと思います。 ![]() SS |
ガイア・アソシエイツで設計した住宅MY邸の続きです。
今回はお待ちかね?!キッチンとキッチンカウンター部分です。 と言っても、今回のリフォームでは、システムキッチンはまったくそのままで、床・壁・天井の内装材を新しくしたこと、キッチンの前の壁を取ってしまい、対面型にしたこと、キッチンカウンターの向かいに家族が集えるカウンターを設けたこと、などが改修部分です。 しかし、これだけ変わるんだ!という驚きを実感していただければ・・・と思います。 改修前の写真です。 キッチンは囲われた空間で、LDからは独立していました。 そのため、空調も届かず(夏は暑くて冬は寒い)、用事があって家族を呼んでも誰にも聞こえない、など不便な点がありました。 ![]() 改修後です。 壁を取ったので、リビング・ダイニングゾーンからもキッチンがよく見えます。 でも、キッチンカウンターは見えないように、工夫して隠してあります。 ここの奥様はいつもきれいに片づけておられますが、それでも不意の来客時や、接客時に、キッチンの中が見えてしまうのは、オープンキッチンの弱点だからです。 もともと壁の方を向いて設置されていたキッチンなので、壁を取り払うことによって、簡単に対面型になりました。 ![]() 玄関ホールとLDKの境を半透明の扉にしたことで、玄関側にも陽の光が入ってきます。 依然と比べて、格段に明るくなりました。 LDKに入ってくると、すぐにこの白いロングカウンターが目に入ります。 ここで簡単な食事もできるし、書きもの、パソコン、読書、勉強(?!)など、多目的に使えます。 ![]() 多目的カウンターに座って、キッチンを見ると・・・。 ほら、これなら話もしやすいでしょう? キッチンからは、LD全体が見えるだけではなく、庭もTVも見えます。 これなら、キッチンに立つのも楽しくなります。 キッチンカウンターの上には、建築主のこだわりのガラスのコードペンダントが美しい光の波紋を広げています。 ![]() いかがでしょうか? 同じ部屋なのに、以前とはガラリと様変わりして、ほんとに明るく広くなりました。 「うちって、こんなに広かったんだ!」 と家族の方にも驚かれてしまいました。 SS |