最近、ガイア・アソシエイツで設計した新築の住宅MS邸が完成しました。
都市部ではよくある事例なので、設計事務所(ガイア・アソシエイツ)と家を建てるとどんな感じなのか、順を追って説明していこうと思います。 ![]() 敷地は都内の住宅地にあり、約38坪です。 東側が道路で、東西に細長くなっています。 都内の住宅地では、土地が高いためもあり、元の敷地を2-4分割にして販売するケースが多々あります。 分割前が正方形に近い敷地だと、購入する敷地は細長く(20坪~30坪程度)なりがちです。 道路が東(西)にある場合は東西に長い敷地になり、道路が南(北)にある場合は南北に長い敷地になります。 どちらの敷地が良いのでしょうか。 これは重要な問題ですが、道路・敷地の法的条件・敷地の大きさによっても異なりますので、個別にご質問ください。 今回の敷地に関しては・・・ ・建物も東西に長くなるので、南向きの部屋(窓)をたくさんとれる。 ・南側の隣家もできるだけ北側に寄せて建てているので、採光上不利である。 つまり、南向きの部屋はたくさん作れるけれど、敷地が南北に狭いので、その部屋の南側に庭がとれないから日照上不利である、という問題があるのです。 続く KS |
![]() MS邸のヴォリューム模型です。 右端にT字型に延びている白い帯が前面道路です。 この道路から見る以外にこの家を観る方法はないのですが、間口が小さい割りに奥行が深く、奥の方に中庭があることはおそらくわからないでしょう。 しかし、実はこの中庭こそが、この家の大きな魅力であり、特徴なのです。 都市型の住宅の場合、どうしても間口が狭く、奥行が長いという土地になりがちです。 そのような細長い土地に工夫無く普通に家を建ててしまうと、どうしても日中陽が射さない暗い家になってしまします。この家の場合もそうですが、両隣に裏側、隣り合う家がひっついているためです。 それを解決するひとつの方法が、この中庭なのです。 これがあることにより、隣の家がどう建てられようと、この凹みから左右の部屋へ光と風を送り込むことができるからです。 この案を見たとたんに、建築主は「これでいいです!これでいきましょう!」と言われました。 建物が4つのヴォリュームから成り立っているので、それを際立たせるために、屋根の傾斜を変え、外壁の色も一個おきに変えて2色のカラーコンビネーションにしました。 これが後に、この建物を非凡にしていくのです。 どんな風に? それは次回からのお楽しみです。 SS |
![]() 前回ご紹介したMS邸ヴォリューム模型の反対側(北側)です。 北側はでっぱりへっこみがなく同一面なのです。 でも、上から見ると、小さなヴォリュームと大きなヴォリュームが交合に組み合わさっていることがわかるでしょう? もしこの建築で、屋根の角度を均一にして色も一色にしてしまったらどうでしょう? きっと、ただ細長い建物がところどころ欠き込まれているようにしか見えないでしょう。 それではつまらないしし、魅力的に見えませんよね? そこで、あれこれ検討した結果、4つのヴォリュームを2色に色分けし、屋根の角度も小さなものは急角度、大きなものはそれより緩い角度に変えたのです。 こうすることによって、4つの形が組み合わさってひとつにつながっていることがはっきりしました。 これは単に外観の見た目に変化をもたらしただけではありません。 内観も単調にならず、変化に富んだリズム感を生み出しています。 特に、小さなヴォリュームの部屋は、高い位置に窓を付けたので、奥行のない空間にハイサイドからの光が注ぎ込まれ、驚くばかりの明るさです。 こんなふうに建築を設計するとき、模型でいろいろ試行錯誤しながら、スケッチも描きながら、どんなふうにしていくか検討を重ねていきます。 SS |
![]() ご紹介しているMS邸新築のパース(完成予想図)です。 パースというのは、建築の完成予想図のことで、図面をもとに作成します。 ガイア・アソシエイツでは、この完成予想図を必ず外観・内観ともに描くことにしています。 図面だけでは、建築主にも現場の職人さんたちにも何が出来上がるのかわからないからです。 自分達の検証にもなりますし、実際に絵にしてみると、ここはこうしようとか、ここはなんとなくうまく納まっていないなあということもわかってきます。 この家の場合、4つのヴォリュームから成り立っているので、外観のカラーリングは2色使おうということになり、しかも2色が交代交代に表れるように考えました。 この絵では、わかりにくですが、中庭の奥にも建物があり、そこの色は濃い方のブルーです。 そうすることによって、ひとつひとつの立体がくっきりするからです。 それで、その2色を何色にするか? これはいつも悩むところです。 特に、この付近一帯はこれといった特徴のあるカラーの建築が少なく、ほとんどがベージュを中心とした一般的な住宅街です。 そこに、ひとつだけ目立つ建築を建てるのか、それとも、周辺になじませる建築にするのか、考えどころです。 この家の場合は、建築主の考え方も、「馴染む」より「目立つ」方がいいということで、私達の考えと一致しました。 いろいろな色を使った建築の例をお見せし、検討を重ねた結果、ブルーの濃淡でいこう!ということになりました。 ところが、このブルーという色、外壁に使うのはなかなか難しい色なのです。 失敗すると、すごく幼稚な感じになったり、生々しい色になってしまったり、微妙なさじ加減でまったく違う表情にになるので、カラーコーディネートのテクニックが必要です。 迷いに迷った末、この2色に決めました。 さてさて、このカラーリングが成功したかどうか、それは追ってご紹介しますので、お楽しみに! SS |
![]() 昨日、ガイア・アソシエイツで設計して、このブログでも紹介しているMS邸で、TOTOの取材がありました。 今回、TOTOのクラッソというシステムキッチンを採用しています。 まだ発売したばかりの商品なので、実際の使用例をTOTOのサイトで紹介したい、とのことでした。 TOTOから総勢7人来られて、午前中いっぱいかけての取材・撮影でした。 ホームページの為の取材、ということで簡単に考えていたので、少しビックリしました。 なかなかのこだわりと熱気を感じました。 また、サイトにアップされましたらお知らせします。 KS |